2000/2/5号
京都中央、一兆四千億信金を救済へ!
京都みやこ、南京都2信金の事業譲受
  【京都】昭和の金融恐慌を乗り越え、第二次大戦後の五十五年ー約半世紀この方、ひたすら地域経済の発展に営々として貢献してきた歴史と伝統のある信用金庫が、バブル経済崩壊の余波で、創業百年を間近にして、また一つ経営破綻した。京都市伏見区に本店のある「京都みやこ信金」である。同金庫は明治三十八年五月、地元有志達の商工業円滑化を図るため産業組合法による信用組合として設立された。爾来九十五年の間、地元伏見区を中心に六十数ヵ店の営業網を展開。ただひたすら中小商工業者の育成と発展のため尽力してきた。平成五年十一月には不振業種の影響を受けて経営不振にあった西陣信金を救済合併し、鋭意再建に努めてきた。しかし、長期不況とバブル崩壊による担保不動産価格の相次ぐ下落により不良債権が重なり、遂に昨年九月末の仮決算段階で債務超過となり、今回、同業の京都中央信金に事業譲渡のやむなきに至ったものである。なお、同じ京都の宇治市に本店のある南京都信金も、京都みやこ信金同様、同じく業績不振により、京都中央信金にセットで事業譲渡されることになった。同金庫は、大正十一年の創立で創業七十八年目の経営破綻である。地域社会と地域住民になくてはならぬ身近な金融機関として営業をしてきた歴史ある信用金庫が、思い切った事前再建対策もなしに行政の数字基準だけで、こうも簡単に次々と消滅させられていいものかと地域金融の存在意義を問う声もある。(以下、記者会見全文)

4%未満にも公的資金?
信金、信組への公的資金、再編が原則だが…
信金、信組にも、新たな自己資本強化策として優先出資の発行が認められる方向となり、これに公的資金の支援も見込まれている。だが、公的資金注入の条件は「再編」が「大前提」となる線が強く、信金・信組側からは「使うに使えない」手段となるのではとの危惧の声が出ている。  当局側としては、経営不振先を引き受けて自己資本比率が低下してしまう信金や信組に、公的資金が支援するというのが基本的考えのようで、あくまで信金・信組の再編をスムーズに行うための一施策。  だが、一方で、ここへきて当局が“四%割れ組”が意外と続出していることに苦慮しているのも事実。  首都圏では止まらぬ地価下落や厳しい監督庁検査で自己資本比率四%を切ったりボーダーライン上の信金が続出。信組では融資先と検査の違いから、監督庁検査が本格化するとさらに低い自己資本比率の信組が続出すると見られている。 「公的資金を受けるなら再編、受けないなら自助努力のみ」とすると、合併・再編も時間がかかり、ペイオフまでのあと一年内で全ての問題を片付けるのは物理的にも難しい。また自力増資も協同組織金融機関は銀行と異なり、庶民から一人一万円とか十万円の出資を募るのが普通(例えば出資を一億円増強するにも、一人十万円としても実に一千人からの出資が必要)で、大変な苦労。  そのため、債務超過のような四%を大きく割るような所は再編やむなしとしても、“四%にやや満たない組”に対し、若干の公的資金の応援を考えては?との意見も出ている。

「まじめ」信金も次々問題信金に
「地価下落、不況の中、検査マニュアル厳しすぎる」
 

ペイオフ一年延期となったものの…
このほど与党三党が「ペイオフ解禁一年延期」で合意した。ペイオフ問題は昨年十二月に突如、慌ただしい動きを見せ、中小金融機関が預金者の混乱必至と見てペイオフ解禁延期を強く要望。政治家筋が目まぐるしく動き、対する大蔵省筋ではペイオフ再延期にがっちりと釘をさすなど、短期攻防戦の結果、結局、「一年だけ延期」との結論に至った。
 延期までに一騒ぎ、さらに延期決定後もマスコミが「政治力により金融行政は護送船団に戻った!」などと具体的に政治家名を挙げて大騒ぎだが、いざ「一年延期」が決まってみると、「はて、何がメリットなのか…?」と、当の金融業界側もハタと首をひねっている。
「確かに、信金等が再編中の今の時期に、ペイオフ解禁まで重なっては、お客さんも不安になって混乱する恐れがある。今年度は信金再編が続行するし、信組も監督庁移管で再編が急増して、相当バタバタするはずですから、ペイオフ解禁一年延期は、一定の効果はあると思います。
 ただ、二年すればペイオフ時代が来るわけですから、結局、同じことなんですよね。二年後にはまた頭を悩ませることになる」 (某信金役員)
 某信組関係者も、 「ペイオフ一年延期だけ、では、意味がないですよ。この一年延ばした間に、景気が良くなれば、効果があると思うのですが、ただ一年延ばしだけでは一年後にはまた同じ状況が来るだけですからね」と嘆息する。
「結局、安定化保証と同じで、ペイオフ一年延期も、“緊急避難”措置。こうして何とか保たせている間に、肝心の景気なり、株、不動産なりを上げてもらわなければ、何とも状況は良くなりませんね」と、“選挙対策”に終わらせず、抜本的な景気浮揚をとの必死の期待が高まっている。

愛媛信金、伊豫信金と合併へ
愛媛信用金庫(理事長・大向深志氏)と伊豫信用金庫(理事長・伊賀上重矩氏)は、対等合併することで一月十一日に合意し、二十四日、愛媛信金本店五階で記者会見を行った。今回の合併は、ともに堅実・健全経営を行っている金庫同士が、金融ビッグバン等金融環境が激変する中で「信金ならではのきめ細かいサービスを提供する」ため決断したもの。存続金庫は、愛媛信金。合併期日は十月一日を予定。  

関東財務局、埼玉へ移転
 

大蔵省・店舗統廃合手続きの簡略化を検討中
全信協では、信金に関連する種々の規制緩和要望をしているが、現在、店舗の統廃合を総代会を通さずにできるようにすることや、優先出資証券の発行、保険の窓販などが大蔵省で検討段階に入っている。 

「『産を興す』創立の精神で」ー興産信金、新年賀詞交歓会
 興産信用金庫(理事長・石原静夫氏)は、さる一月十二日午後十二時より、九段・ホテルグランドパレスおいて、新年賀詞交換会を開催した。  今年は、六月五日に神田信用金庫との合併が予定されており、その報告も兼ね、三ブロックにわけて行われる新年会の第一段として本店を含む九支店の取引先約三百六十百名が一同に会し、行われたもの。  冒頭挨拶に立った石原理事長は、「現在、日本の経済・金融環境は、大変厳しい時期にありますが、そのような時こそ、私たち興産信用金庫は、大正十二年の創立時の願い【産を興こす】の精神にあらためて立ち戻り、お取引先中小企業の成長、発展に貢献していきたいと思います。  六月には神田信用金庫と合併し一段と店舗網が充実しお客様の利便性が図られますが、この機会を飛躍の一大転機とし、経営の健全性を高め、体質の強化を図るとともに、お客様の要望に十分応えられる金庫になるよう努力いたします」と力強く新年の抱負を語った。




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