2000/2/25号
自らのクビを飛ばした”越智発言”の真意
「経営がダメな金融機関は、早く手を上げてほしい!」
 さる二月十九日、栃木県塩原町のホテルで県内の信用組合代表者をはじめ地元金融機関の関係者が集った席で講演した越智通雄金融再生委員長、金融担当大臣の“検査手ごころ発言”が、大きな政治問題になり、結局、発言の真意が伝わらないまま、政争に巻き込まれ越智大臣は更迭を余儀なくされた。本紙ではその時、たまたま栃木県地区の信組業界特集取材の最中で、この事態に遭遇、真相を知る機会を得た。越智大臣発言の問題部分は、講演約四十分のうちのほんの些細な部分で、大要は次のようなものであった。「四月から信用組合の監督は金融監督庁に移行するが、一つの金融機関破綻処理に一年もかかる。ペイオフ延期・公的資金注入特例措置は実質一年しかない。したがって経営的に本当にダメなら、早く手を挙げてほしい。国の検査になると自己資本比率は、さらに何%も下がるんですよ」という信組業界への警鐘発言であった。要するに、信組業界への再編と資本注入による健全体質の促進を要請するものであった。そこで本紙では、全国的にも全く再編の遅れているとされる栃木県内信組業界の現状を次に取材・特集した。  

北洋、札幌と統合へ
持株方式で新時代に対応
北海道、「2行」体制に
 【札幌】第二地方銀行の北洋銀行(頭取・武井正直氏)と札幌銀行(頭取・吉野次郎氏)は、二月九日午前九時半、北洋銀六階大会議室で記者会見を開き、平成十三年春をめどに共同で持ち株会社を設立することを発表した。  北洋、札幌両行では、昨年十一月から、CD、ATMの相互開放などの包括的業務提携を進めてきたが、持株会社方式をとることで、さらに経営基盤の一体的運営を図っていく方針。  合併ではなく提携としたことについて、北洋・武井頭取は同日の会見で「両行の独自性を尊重し、北海道の金融システムの安定化を図るため」と語った。  統合後の店舗や人員の調整、役員等については、今後、両頭取が委員長となる「持株会社設立準備委員会」で検討していく。
 【解説】これは二〇〇二年のペイオフ解禁を控え、各行が公的資金注入を受けるよりも近隣の銀行との合併で生き残ろうとする再編気運≠象徴する動きとする見方もある。  地銀・第二地銀にとっては、今後予想される大手行や銀行業に新規参入するイトーヨーカ堂などとの競争に備えることにもつながる。  金融再生委員会では、「一県二行主義」の再編姿勢を表明しているが、今まで公には再編を主導しなかった金融監督庁でも全国の地銀・第二地銀一一九行の頭取や社長と各財務局長らを面談させて、合併や業務提携などを促し体質強化を図る方針を示した。  北海道内は、最も規模の大きい北洋銀に札幌銀が統合した第二地銀グループ(預金量五・六兆円)と地銀の北海道銀(預金量三・三兆円)の二行体制となる。  なお、北洋銀では、九十八年に破綻した北海道拓殖銀行の店舗を引継いでおり、旧拓銀とのシステム統合が今年五月始めにも完了する予定であることから、同行では持株会社設立に先立ち、まずこのシステムの統合作業を最優先課題に位置付け進めるとしている。 ▼北洋銀行 二三一店舗、従業員三六〇九名 ▼札幌銀行 七一店舗、従業員一〇四一名(九十九年三月末) 


まず”再編ありき”に健全信組反発!
 この二年で約六十の信組が消滅。さらに四月からの国への監督事務移管、検査マニュアルに基づく“再編目的”の検査を目前にし、「合併を」「再編を」と信組は圧される一方。自己資本比率や預金量の少ない信組は戦々恐々とし、健全信組は猛然たる再編による業界の信用力低下に黙って耐え忍んでいる。こうした中、二月十七日、信組会館で行われた全信中協予算総会では、会員信組から、“矢も楯もたまらない”調子で執行部批判が次々に噴き出した。

金融機関再編で、どうなる?
雇用、退職金、年金、再就職…     
 大都市を中心に信金の再編が相次いでいるが、この寒さ厳しい大不況の中、職員にとっては、雇用、退職金や年金がどうなるのか、まさに「死活問題」。そこで雇用問題を中心に再編の”実態”をまとめてみた。

関東財務局、さいたま新都心でスタート
 大蔵省関東財務局(局長・武田宗高氏)では、多極分散型国土形成促進法に基づき、さいたま新都心に移転し、二月十六日より業務を開始した。  これに伴い、従来の東京都内の銀行・信用金庫等の監督行政は大手町の東京財務事務所管轄、特に理財一課となった。  二月十八日、関東財務局では新庁舎十八階の大会議室に於いて開庁式を開催した。  当日は来賓として、大野功統総括政務次官、薄井信明事務次官を始め、東 正和関東信越国税局長、梶山直巳国税不服審判所長、元関東財務局長で元防衛庁事務次官の吉野 實氏、元管財第二部長の松尾廣俊氏を招き、役席六〇〇名の出席により開かれた。  知原総務部長の司会の元、武田局長から、これまで培ってきた経験を生かしながらも、新庁舎に移って心気一転、国と地域を結ぶパイプ役として、その役割を十分に果たしていくよう努力していこう、と挨拶があった。(関東財務局及び東京財務局人事異動付き)

佐野信金と佐野ラーメン事情
 かつての”織物や際物のまち”佐野は今、佐野厄除け大師と共に、”ラーメンのまち”として全国区の知名度を得ている。この佐野に200店近くあるラーメン店全店の開業資金や運転資金を一手に引き受けているのが、佐野信金(理事長・太田正夫氏)だ。”佐野ラーメン事情”と同信金の活動を取材した。

青梅信金230名が青梅マラソンのボランティアに
 第三十四回青梅マラソンが開催された。  雪の舞い散る悪天候の中、一万三九〇〇名が河辺小学校グラウンドで受付した。二十世紀最後の青梅マラソンは健在だった。  毎年、恒例となった青梅信用金庫(理事長・大杉俊夫氏)のボランティアも二三〇名が参加し、受付を始め、大会運営に大きな力を発揮した。金庫からも一五名ほどが出場した。

愛知県信協会長に秋田理事長


全信連・森岡謹一郎元専務亡くなる




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