2000/5/15号
信金再編終盤戦
千葉、沖縄、北海道で合併へ
 再来年のペイオフや新会計基準の本格導入などを控え、銀行を始め信金、信組等中小金融機関の再編・統合は加速度的に進んでいる。  この流れを受けて信金業界でも東京を始め急速に再編が進んできている。  こうした中、さる五月十七日には、千葉県の東京ベイ信用金庫(理事長・関 康夫氏)と松戸信用金庫(理事長・諸藤繁樹氏)が、来年二月を目途に対等合併を、また十九日は沖縄県のコザ信金(理事長・普天間朝盛氏)と沖縄信金(理事長・屋良朝一氏)が合併を発表した。  さらに二十七日には、根室信用金庫(理事長・北村信人氏)と厚岸信用金庫(理事長・金澤勲氏)が合併を決断した。

水戸信金、合併で営業エリア、全県に拡大
 大型連休が終わった五月八日、水戸信用金庫(理事長・西野 一郎氏)は、龍ヶ崎信金と合併し、新生水戸信金として新たなスタートを切った。
 当日は晴天に恵まれ、竜ヶ崎市内にある旧龍ヶ崎信金本店では、午前八時五十分から西野理事長を始め、地元竜ヶ崎市長や商工会議所会頭などが出席しての、合併記念の看板披露並びにテープカットを行った。
 旧龍ヶ崎信金は、昨年六月四日、水戸信金との合併の基本協定合意発表時に、一旦預金が増えたものの、その後預金の流出が続いたため、昨秋十一月四日の総代会の承認を得た基本契約の際に記者会見を開くとともに、龍ヶ崎信金本店にも水戸信金と合併するとの垂れ幕を出すなど、預金者の信用不安解消のため最大限の合併アピールを行ってきた。
 こうしたことが功を奏して、預金流出が最小限に押さえられたほか、新生水戸信金としてのスタートとなった当日には、かつて預金を引き出したお客が逆に列をなして当日の店頭に並ぶなど回帰現象がみられ、店内がお客さんで埋め尽くされる―という「嬉しい」悲鳴を上げるスタートとなった。    

第二地銀協、吉居氏(東日本銀頭取)が会長に


全信連、「信金中央金庫」に名称変更
 「全国信用金庫連合会」(理事長・宮本保孝氏)の名称が、いよいよ「信金中央金庫」に変更される見込みとなった。信金法第六条改正案が衆参両議院を通過し、五月二十五日成立したもの。
 「全国信用金庫連合会」の名称は信金業界内ではなじみがあるものの、全信連では融資先の開拓の際などに一目で信用金庫の系統「金融機関」とは見てもらえず、しばしば説明を要するような状態だった。加えて、今秋に優先出資の上場も控えていることから、この際、創立五十周年を期に、内外にわかりやすい名称に変更することになったもの。

伊藤東海信協会長、全信協副会長に


個別信金、信組で優先出資発行へ     
二〇〇二年四月よりペイオフ部分解禁
   五月二十四日、預金保険法改正案が成立した。これにより、個別信金・信組にも優先出資発行が認められたとともに、二〇〇二年四月からのペイオフ解禁以降の預金保険制度の姿が固まった。
 各信金・信組では、早速、優先出資がいつでも発行できるように、六月中旬から下旬の総代会で定款変更を行う見込み。
 またペイオフ関連では、二〇〇二年四月以降、新たに金融債(ただし権利者が確知できるもの。無記名は除く)、公金預金、特殊法人預金が新たに預保の保護対象となる他、預金利息が付保対象となる。
 さらに、特例措置として、流動性預金(普通預金や当座預金)が二〇〇三年三月まで全額保護されることとなった。(なお金融機関にはこの間、流動性預金について、他の預金よりも高い保険料が求められる)
ペイオフ解禁が一年延びたのに伴い、預保による不良債権の買取も一年延び、二〇〇二年三月まで。
 また、協同組織金融機関に限り、早期健全化勘定での資本増強が一年延長の二〇〇二年三月まで可能となった。
【他、第百四十七国会成立法案】
○金融商品の販売等に関する法律案
 金融商品の販売業者等は、金利や市場動向、販売会社の状況(販売金融機関自体が倒産するなど)で、その金融商品が元本割れするおそれがある時には、そのおそれがあることや指標を説明しなければならない。重要事項について説明しなかった時は、それによって生じた顧客の損害を賠償する責任がある。
 また、金融商品の販売に当たり、あらかじめ社内で「勧誘方針」を決めておかねばならない。具体的には、勧誘対象者の知識、経験、財産から配慮すべき事柄とか、勧誘の方法や時間帯等についての事項も決めておかなくてはならない。
 なお、同法は十三年四月一日から施行。
○SPC法改正案
 主な改正点は、まず、資産の流動化を行う特定目的会社の設立条件を緩めること。設立時、今まで「登録制」だったものを、再生委への「届出制」とした。また、特定目的会社の特定資本の最低額を、三百万円から十万円に引き下げる。これにより、特定目的会社の設立ができやすくなり、資産流動化が進むことを期待している。
 また、新たに「特定目的信託制度」を創設。これは、委託者が有する信託の受益権を分割して複数の者に取得させるもの。
 同法は交付日から半年以内に施行。

信金社会貢献賞会長賞に大阪市信金 

 全国信用金庫協会(会長・加藤敬吉氏)では、このほど第三回信用金庫社会貢献賞の選考が終わり、会長賞の大阪市信金をはじめとして各賞が決定した。受賞金庫は六月二十三日の全信協総会で表彰される。
 今回は、昨年十一月から三カ月間募集したところ、スポーツから芸術・文化、学術的なことまで幅広い分野での地域活動から三九〇件の応募があり、その中から会長賞をはじめ受賞八金庫と個人受賞二名が決定した。
 会長賞を受賞した大阪市信用金庫は、「人にやさしい福祉のまちづくり活動」と題し、同信金の創業精神である「善隣」と「共愛」に則り、常日頃から様々な社会貢献活動を実施している。
 とくに、店舗づくりでは新店舗ばかりでなく、全店舗で高齢者や障害者にやさしく設計されていることが評価され、さらに、十二年間続く献血活動、全店実施の毎月の清掃活動、身近な健康問題をテーマにした健康セミナー、店周の緑化活動など、数々の金庫基本理念の具現化が総合評価された。
【会長賞】◎大阪市信金 人にやさしい福祉のまちづくり活動 【Face to Face賞】◎鶴岡信金 養護施設との交流活動 ◎広島信金 能楽の普及と振興活動 【奨励賞】◎赤穂信金 電子マネーによる地域商店街の活性化支援 ◎能登信金 痴呆性老人問題への啓蒙 【特別賞】◎北上信金 ミズバショウの植栽活動 ◎巣鴨信金 おもてなし処の開催 ◎一宮信金 親子民話教室の開催 【特別賞(個人)】◎西浦 稔氏(蒲郡信金) 市民バンド育成への参画 ◎池内宏行氏(姫路信金) 花いっぱい運動の推進

地域への責任胸に六十周年−京都中央信金      
【京都】京都中央信用金庫(理事長・道端 進氏)では、去る四月二十九日、国立京都国際会館にて、総代、来賓、関係者等約二千三百名を招き、創立六十周年記念式典を開催した。
 道端理事長は席上、「地域の皆様から『堅実経営の中信』という信頼を最高の財産として、今後も我々の力で発展させていく責任の重大さを痛感する。  今こそ創業の初心に返り、地域への愛、顧客への愛、すべてに愛と感謝の心を持って経営に取り組んでいきたい。
 そして、役職員が結束し、全知全能を傾けて、迎える二十一世紀には名実ともに日本一のコミュニティバンクとなることができるよう、決意を新たにしている」と、力強く抱負を述べた。
 同金庫は、京都みやこ、南京都の事業譲受により、京都一の金融機関となるだけでなく、リーディングバンクとして、京都経済を支え発展させる役目を中心的に背負うことになる。この言葉は、同金庫だけでなく、京都経済人の願いも込められた重い一言として場内に響いた。

兵庫信金ふれあい大学、家田荘子氏の講演、好評に  





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