2000/8/25号
生き残り賭けた最後の戦略「信金次期システム」
次期システム研・原口座長に聞く
 着々と進展する大衆化異業種の金融戦線と参入機運。同業態の巨大化、地銀筋の共同システム化移行。加えて虎視眈々と日本市場を狙う外資系バンクの不気味な動き等々、二十一世紀の日本の金融市場は大荒れの気配が強い。地域密着、Face to Faceで日本の庶民金融、裾野金融の分野をしっかりと堅持し、百兆円もの巨額な預貯金エリアを築いてきた信金業界も、ここにきて先行きまことに不透明。
 むしろ不平等な規制で不安視≠ウれる始末。
 全信協では二十一世紀のIT時代を勝ち抜くために四―五年前から、信金は”金融ビッグバン時代に何をなすべきか?”を機械化推進委を中心に検討してきた。そしてその方向性についてSSCの次期システム研究会に委託してきたが、その答申がさる七月末に全信協会長あて提出された。いま全国の信金には地区ごとにその構想の答申内容が説明されつつあるが、早くも一部地区共同事務センターの事務局サイドからは、この構想に「反対」の狼煙(のろし)≠ェ上げられ、三百七十余の信金が一体となった次期システムの早期実現は、懸念視されつつある。
 二十一世紀の金融競争に生き残るために、最後の牙城≠ニも言われる「連帯・協調姿勢」の「信金次期システム構想」は、予定通りペイオフ後の二〇〇四年までに実現されるのか。それとも、信金が勝ち組になるための経営戦略として打ち出された構想が、一部の反対で瓦解してしまうのか。
 本紙では、業界の命運を担い次期システム研究会の座長を務めた荒川信金・原口専務理事に、改めてこの必要性の「真意」を聞いた。   

「NTTデータ料金は高すぎる」―業界全体に不満の声
 全国各信金から、システムに関するベテラン担当役員、幹部職員らを招聘して構成された「信金次期システム研究会」の研究・検討の結果は、さる七月末に同問題を諮問した加藤敬吉全信協会長に答申され、いまその研究母体となったSSCの担当者を中心に、全国にわたって答申内容の説明会と疑問点の吸い上げが行われている。
 「他業態、異業種等の大金融競争に打ち勝つためには、ぜひとも信金業界の英知を結集し、システムの一元化を図ることが絶対に必要である。そしてそれを早急に実現することが二十一世紀の金融サバイバル戦に勝ち残る最後の牙城である」として、共同事務センターの代表も参加しての研究会答申でもあったが、全国共同事務センターの中核でもあり、最も発言力の強い”信金東京共同事務センター事業組合“の事務局サイドが、この構想実現に真向から不参加を表明、独自の道を往くべきとした。
 そのため、金融新時代の信金業界の経営戦略としては”全国統一システムは時の流れ“と認識する同組合トップ陣との間に、微妙な意見の不一致が見られ、同組合の今後の成り行きが注目される。
 全国から様々な関係者の意見を取材しながら、次に特集した。

日南信金、南郷信金へ事業譲渡に
 昨年十一月に職員による横領で破綻した日南信金(宮崎県日南市)の事業譲渡先に南郷信金(宮崎県南那珂郡南郷町 理事長=石倉栄二氏)が決まった。両信金は八月十日に基本合意書を締結、九月中に事業譲渡契約書を締結する。
 当局では日南が破綻して以降、宮崎県内の地銀、第二地銀、信金に事業譲受の意思を打診。中で、近隣で同業態の南郷信金から前向きな回答があったため、南郷信金に的が絞られ、今年三〜五月にかけて同信金で具体的な検討作業が行われていた。
 日南の預金は全額、南郷信金に承継され、債務者は善意かつ健全なもののみ承継。店舗、従業員については未定となっている。
 なお、南郷信金、日南信金とも預金量は三百億円台。南郷は店舗数八、日南信金は店舗数七、職員数約八十名。

意外に人気、コンビニATM
モバイルはセキュリティ不安がネック
 NTTドコモによるiモード携帯電話の爆発的普及で、信用金庫を始め各金融機関でもiモード対応の金融サービスを本格的に開始している。中でもiモードを頻繁に使っている若者達の囲い込みや、新規顧客獲得のために戦略を立てて事業展開を図ろうとしているところも少なからずある。こうした手軽で気楽に、金融機関に行かなくてもできる金融サービスを利用者側はどう見ているのか。このほど小社では、インターネットでアンケートを実施。幅広い層から回答を得た。
 設問は、現在、モバイル(iモードなど)、パソコン(インターネット)、テレホンバンキングを利用しているか否か。その理由は何か。どのような取引で利用しているか。また、今後、コンビニATMを利用すると思うか否か。利用するとすればどのような取引で使うのか。
 アンケートの結果、モバイル利用者は一二%、パソコンは一七%、テレホンは一五%に止まったが、コンビニは五六%が「使う」と答え、際立った人気となった。

 セキュリティ不安で  モバイル使わず

 「在宅取引組」(モバイル、パソコン、テレホン)に人気がないのは、「セキュリティ」の問題が最も大きい。
「最近情報漏洩のニュースをよく見かける」などで、四割弱が、在宅取引組を使わない理由にセキュリティ不安を挙げている。
 「カード番号やパスワードが漏れるのではないか…」といった決済時のセキュリティ不安による「食わず嫌い」は、実は当の金融機関関係者にも結構多い。
 最近はインターネットで買い物などをする際、ブラウザにSSLなどの暗号化機能が付いており、これが破られる確率は極めて低いと言われる。だが、プロバイダーの管理が甘いために個人情報が流れるケースが散見されるほか、クラッキングのケースもあり、一〇〇%安全とは言いがたい。
 「近くに店舗やATMがある」(二一%)ことも手伝って、あえてリスクを取ってまで取引したくはないということのようだ。
 また、次いで利用料の高さ(一九%)や機械操作の難しさ(一五%)もネックとなっている。
 特にモバイル・バンキングでは、「機械が高い」、「利用料が高い」が合わせて四割近くに及んだ。古い世代の携帯電話やPHSが無料で手に入る中、iモードの使えるNTTドコモ最新携帯電話は二万円が相場。またiモード利用料も月三〇〇円、年間四千円以上にもなるだけに、まだ手軽に利用―というわけにはいかないようだ。

  ○モバイル達人は電話、パソコン、モバイルを使い分け
○大人気のコンビニATM、「二十四時間稼動を」
○「手数料を取られるのはイヤ」  

岐阜県内信金、9月からCD、ATMのネット利用料無料化

災害時にもATMは稼動を―金融庁
 三宅島の噴火・地震が続いているが、金融庁では、八月二十一日、災害地における金融上の措置について事務ガイドラインを一部改正した。
 最近、ATMなどの機械化ネットワークが非常に増えていることから、窓口営業ができない場合でも、ATMなどで預金の払い戻しができるように新たに要請。
 また、特に「東海地震対応策」を新たな項目として設定し、
 @東海地震警戒宣言が出された際には、金融機関は普通預金の払い戻し以外は窓口業務を停止。窓口での払い戻しも順次停止する。
 A休日や、開店前、閉店後に警戒宣言が出た場合も、窓口営業は開始(再開)しない。
 B営業停止等は店頭ポスターのほか、新聞やインターネットのホームページで告知すること―を定めた。

信金総代会特集
 
○成和信金、理事長に田茂専務。常務に吉野氏、理事に宮田氏
○埼玉縣信金、斉藤氏が専務に。新理事に安田氏、鬼久保氏
○松本信金、横山氏、青木氏が理事に。監事に田中理事
○高崎信金、新井氏が理事に。山尾理事が監事
○大栄信金、松井氏が理事に
○北群馬信金、熊川氏が理事に新任
○高山信金、飛騨の観光順調で、堅調な伸び
○北伊勢信金、厳しく体質改善へ
○関信金、業純2割増に
○高松信金、専務に若狭常務
○徳島信金、役員全員再任
○鳴門信金、預金増加も貸出伸び悩む
○阿南信金、住宅ローン積極推進で貸出3%増に
○愛媛信金、預貸とも順調な伸び
○伊豫信金、愛媛信金と合併へ
○川之江信金、地場産業振興に全力
○宇和島信金、漁業、ミカンの不振響く
○幡多信金、預貸とも50億円以上の伸長


興産信金、合併記念で明治座観劇会

大阪市信金、3年ぶり国体出場へ




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