2000/9/25号
21世紀の信金システムは「より安く、機能的で、経費明瞭なシステムを!」
全国信金からベンダー1社独占の弊害、不満が続出
 次期システム研究会が全信協会長に答申した「信金次期システム構想」は、金融ビッグバン、ペイオフ解禁、異業種の金融業参入など”金融サバイバル時代”を迎えて、業界挙げての最善の経営戦略として全国信金で真剣な論議がなされており、今後の展開が注目されている。この構想に対し、しんきん東京共同事務センターを始め一部地方の共同センター事務局サイド並びに創業当時からの古参理事クラスには、”反対”の機運がある。しかしながら、全体としてはコストが格段に安くより機能的であれば、この際、いつまでもNTTデータだけの設備と技術に頼ることなく、全国信金の資本をバックにした「信金次期システム構想」の早期実現が望ましい―との方向で纏まりつつある。特に自営から共同に入った信金筋には、「共同センターの技術―本来共同の最大のメリットであるはずの基本的な勘定系が弱く顧客からのニーズに対応し切れていない」こと。また古くからの共同センター加盟金庫からも、高コスト問題もさることながら、「なにかにつけ保守的、独善的」(某信金理事長)なセンター運営に強く反発する声も挙がっている。特にセンター加盟金庫は全面的に共同に頼っているだけに、いわば人質をとられたようなもの。今更自営に戻ることが出来ないことから、柔軟性に富んだ新システムへの期待はかなり強いものがある。そのため新システムの早期実現への気運は益々高まっている。次に東京と関東の共同加盟金庫の率直な声を取材した。  

新名称で21世紀へ
―しんきん中金、役職員決意新たに
 いよいよ「全信連」が「しんきん中金」に―。十月二日、東京・京橋の信金会館には、真新しい鮮やかなブルーの「信金中央金庫」の標柱がお目見えし、早朝八時から、「しんきん中金」のスタートを記念して、一階吹き抜けにて名称変更式典が執り行われた。
 全信協・しんきん中金会長・加藤敬吉氏(岐阜・会長)、前全信協・しんきん中金会長・山口 勇氏(朝日・相談役)、長野幸彦東信協会長(朝日・会長)、全信連役員など関係者が見守る中、式典では、まず名称変更の立役者でもある宮本保孝理事長が式辞を述べた。    


早期是正措置適用対象発表で「死刑宣告」!?
進まぬ信組等再編で、金融庁、強制排除へ
 「金融庁が平成十三年度から早期是正措置を発動した金融機関の名前を公表する」―!
 九月下旬、一部でこんな報道があり、金融業界を震撼させた。
 即座に相沢再生委委員長は、「そんなことをしたら中小の金融機関は噂が飛んで潰れてしまう。この点については、金融庁とも話し合いたい」と反発した。
「まさに、金融庁の狙いは、相沢発言≠フ通り。中小の金融機関にとって名前を出されること=即、『死』を意味する。二〇〇二年四月にペイオフを控え、経営不振なのに再編もできない金融機関が残っていれば、全部潰してしまおうということだろう」(金融業界関係者)。
 金融庁が自民党の金融問題調査会に示した資料では、今年三月末段階で自己資本比率が四%未満の信組は十四に上っている。うち、自己資本比率〇%以上二%未満が二信組、二%以上四%未満が十二信組ある。さらに金融庁の検査が信組に対し今年七月から本格的に始まったが、検査が一巡する来年初頭過ぎまでに、早期是正措置対象信組の数が一層増えるのはまず間違いない。
 ふるいから落ち、しかも引受け手もなく取り残される経営不振信組をそのままにしておけば、ペイオフ解禁後に破綻して、大きな悪影響となる。今のうちに、良い金融機関、悪い金融機関を冷徹に選り分けて、悪いものには『退場』を願うしかないという方針のようである。
 信金業界では、検査も再編も一巡してしまったせいか、この問題は話題にも上っていないが、二〇〇〇年三月段階で二%以上四%未満がまだ三金庫あるとされている。一部マスコミで早期是正措置対象の金庫を炙り出して名前を取り沙汰しており、多少の傷であっても、過大な信用不安が起きて、思わぬ破綻につながらないとも限らない。関係者には、極力早めの増資、再編対応が必要となっている。

 

時価会計、有価証券評価損を自己資本へ算入へ
 金融庁では、時価会計の導入を控え、このほど預金取扱金融機関の自己資本比率告示を改定した。
 時価会計では、今まで低価法だった有価証券について時価評価を行い、長期運用・保有株の「その他有価証券」の評価損益が「資本」の部に計上される。いま株価の下落で含み損を抱えている金融機関が多いとされるが、特に有価証券運用・保有の多い国際基準行は、時価評価が入ると自己資本比率が急激に低下する所が多いと言われていた。
 今回の自己資本比率告示改定では、国際基準行について、その他有価証券の「評価益」の四五%相当額を自己資本比率の補完的項目に算入するが、「評価損」も算入となる。
 一方で、国内基準行については、その他有価証券の評価益は算入されないのに、評価損だけが自己資本比率に算入ということになった。
 各金融機関では、有価証券の八〜九割方を「その他有価証券」に分類。つまり有価証券の価格下落が金融機関の自己資本比率下落に大きく作用する体制。
 そうした中、今年四月のIT関連株バブルの崩壊で国内株式市況は一万六千円台で低迷。さらに八月の日銀のゼロ金利政策の解除(無担保コールレートオーバーナイト物を〇から〇・二五%に引き上げ)により、債券価格も下落。短期金利上昇は織り込んでいたが、予想しなかった長期金利の上昇で長期の債券に大きな含み損が発生した金融機関も見られ、時価会計導入による自己資本比率の大幅な低下が懸念されている。



摂津しんきん、ビジネスマッチングフェア好評  
【摂津】バブル崩壊以来十年近くにもなるのに一向に回復する兆しを見せない国内景気。政府等でもこの間、中小企業安定化資金の実施など様々な景気浮上策をとってきたが、銀行の巨額な不良債権償却等が大きなネックとなってなかなか浮上しなかった。
 それでも今年は、猛暑のためクーラーの生産が追いつかないほどだったり、オリンピック放送を見るため衛星放送付きテレビが売れるなど一部家電や耐久消費材の需要が伸びる一方、自動車等でも新製品ラッシュが続いた。
 政府では、IT産業へのシフトが産業構造変革のキーワードとばかり、ITベンチャー育成が、景気復活になると喧伝している。 その一方で、高度成長を支えてきた中小企業が、産業構造の変化や後継者の人材不足等により事業継承を断念する―廃業が増加しており、事業廃業率と新規起業率の割合は、中小企業が集中する東京や大阪で廃業率が起業率を上回っている状況にある。
 こうした中、摂津信用金庫では、ベンチャー企業は何も、IT産業だけではない―既存の中小企業こそベンチャーだとして、地元中小企業の活性と、企業提携による更なる発展を旗印に、単なる異業種交流会ではなく金庫が積極的に中小企業診断士や大学教授などを通して、マッチングさせるビジネスマッチングフェアを実施している。
 今年も九月二十二日、二十三日の両日大阪市吹田市の万博記念公園内のオオサカサンパレスで、マッチングフェアとしては二回目となるビジネスマッチングフェア二〇〇〇を開いた。
 今年は、地元一〇五企業が参加。
 「みらい・ふれあい・創造博」のキャッチフレーズの元、それぞれの企業が自分の得意とする分野と技術、並びに提携したい企業・共同開発を希望する案件などを自分のブースに添付。
 訪れる同業企業等に対し、熱心に自企業の特徴、技術等について説明していた。
 摂津信金・大木会長は、「全国で信用金庫が地元中小企業や通産省、地元自治体を巻き込んで、こうしたイベントを実施することが地域発展のため、中小企業金融としての信用金庫のためにもなる。
 こうした地域の企業、地域活性化の一手段としての試みを実施しようと計画している金庫に対してはノウハウ提供を惜しまない」との全国の信金へのノウハウ提供を申し出ている。
 信金ではないが、大阪の池田銀行が、大木会長からアイデアとノウハウの提供を受け今年からビジネスマッチングフェアを実施した。
 なお、今回大阪府の商工労働部商工振興室が相談ブースを設け、中小企業の商工制度面からの相談に乗っていた。    

優先出資支援は再編金庫に―しんきん中金


東海豪雨水害に、復旧支援融資  
 九月中旬、台風の影響で低気圧が大荒れし、東海地方は豪雨に見舞われた。短時間で大量の雨が降ったため、各地で河川や下水道が氾濫し、床上浸水、床下浸水や商品等が水浸しになるなど大きな被害を出した。
 信金も、庄内川が決壊した名古屋を中心に十五信金・十六店舗が水害に遭い(うち愛知県の中日信金は二店舗が罹災)、床上浸水で配線コードが水浸しになって使い物にならなくなったり、一部では貸し金庫やカウンターなどに被害が生じた。
 こうした中、各信金では自金庫の復旧作業にあたるとともに、緊急の「水害対策融資」を始め、被害を受けた各事業所や家庭の復旧を支援している。  

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