2000/12/25号
再生委、ニ商銀に破綻宣告

 金融再生委員会では、十二月十六日、大韓民国(韓国)系信組の関西興銀並びに東京商銀が債務超過に陥っているとし、破綻を認定、金融再生法第八条に基づき、金融整理管財人による業務、財産の管理を命じた。同時に、朝鮮民主主義人民協和国(北朝鮮)系の昨年破綻の十三朝銀のうち七朝銀につき、責任解明委員会等での破綻経緯・経営者責任の追及が不徹底とし、法務関係者らプロから成る金融整理管財人を送り込むこととした。
 以前から関西興銀らとアングラ勢力との関連、朝銀の朝鮮総連など北朝鮮政府筋との疑惑関係が取り沙汰されていた。しかし、「外交問題」への発展の懸念、各種圧力などもあり、この問題の解決は非常に困難視されていた。
 今回、破綻大臣=E柳澤再生委委員長の就任で、こうした一種「タブー」視されていた領域にも大胆にメスが入れられることとなった。
 柳澤再生委委員長の同日夜の会見によると、関西興銀は昨年六月基準で▲五一〇億円、東京商銀が▲一九三億円の債務超過に陥った。関西興銀側はこの検査結果を不服とし、検査官と商銀関係者で債権分類解釈について長らく協議や精査を重ねたが、「例えば破綻懸念先への貸倒引当金について、再生委側は四七%弱必要とするのに対し、組合側は九%位の引当で良いではないかとし、」(柳澤委員長)考え方が全く大きく食い違い、接点が見出せなかったとされる。関西興銀側は、自己資本の充実策の提出にさえ応じず、再生委ではやむなく日債銀以来の強制破綻≠実施したもの。東京商銀側は、自己資本比率回復策を提示したが、期待できるものではなく、同組合から再生法六十八条の破綻の申し出となった。
 なお、関西興銀側は破綻直後まで強硬姿勢で「当局の極めて不当な暴挙。行政訴訟も辞さない」としていた。
 なお日銀は関西興銀向けに日銀特融を実施、東京商銀へは全信組連を通じ流動性補給をする。

 関西興銀にはみなついていかなかった

 【解説】韓国系信組−商銀信組は、昨年だけ見ても静岡商銀が横浜商銀に、島根商銀と山口商銀が広島商銀に、埼玉商銀が東京商銀に、北海商銀が宮城商銀に事業譲渡となるなど、経営の弱体化が問題となっていた。
 これに先がけ韓信協では、平成九年に全国の商銀を六つにまとめる構想、さらに今年に入ってからは預金量一兆円を超える業界bPの関西興銀とbQの東京商銀の二つに各組合を統合、集約し「銀行化」する構想が持ち上がっていた。
 そのため、今回の関西興銀、東京商銀という「受け皿信組」自体の破綻で、この大再編構想が底からひっくり返り、ご破算になったと心配する向きもある。
 ところが、信組関係者によると、実は商銀信組の理事長の考えは様々で、この二本化構想から抜ける所がすでに続出していたと言う。

○関西興銀▲510億円、東京商銀▲193億円の債務超過
○関西興銀には誰もついていかなかった
○「ニ商銀破綻、遅すぎた」−在日韓国筋
○新行構想の動き急に−韓信協では横浜商銀受け皿案
○関西興銀の情実融資問題
○朝銀問題は政治決着?


異業種参入ルール決まる

 金融審議会では、さる12月21日総会を開き、懸案となっていた異業種の金融参入ルールなどを盛り込んだ報告をまとめ、柳澤再生委委員長に提出した。
 この報告は、今年8月の「異業種による銀行参入等新たな形態の銀行業に対する免許審査・監督上の対応(運用上の指針)」を受けて、9月以降具体的な参入ルールなどについて審議されていたもの。
 参入前の規制としてチェックの対象となる株主については、@株式5%超20%未満については株式取得の届け出A20%以上の株式保有グループないし個人・法人の場合(重要な影響を人的物的に与えることが出来る場合は15%)=「主要株主」として、株式取得を認可制にし、行政による適切な監督対象とする。
 検査については、@5%超の保有株主が、実質的影響力の有無の確認目的に限定した書面チェックA主要株主は、定期的報告、特別報告を区別等。


信金業界も、ペイオフ対策に取り組みへ

 全信協の経営対策委では、ペイオフ解禁までに過小自己資本の金庫への業界支援策やペイオフ後の相援をどうするか等を決める「相互補完体制のあり方に関する研究会」を11月、発足させた。来年1月までの間に、ペイオフ解禁までの金庫支援策などについて集中審議を行う。12月末までに4回の会合を開催。

5信組2次ロス、国の負担に

 東京協和、安全、コスモなど、平成七年までに破綻した五信組の二次ロス一百億円について、約八百億円を国が負担する方針が先に決まっていたが、再生委では預保が八百二十億円負担することを、十二月五日、正式に承認した。
 この問題は、東京の三信組が相次いで破綻した際、当局からの要請を受け、日銀、関係金融機関、全信組連、全国・都内信組、預保が資金を出し合い不良債権を処理。回収可能債権は都信協が買い取り、全信組連がその資金を貸し出したものの、その後、二次ロスが発生。他地方二信金の二次ロスも含め一千億円以上の焦げつきを抱えて全信組連が潰れかねない状況に陥ったため、業界側から国に対し、公的資金の要請が昨夏から出されていたもの。
 この二次ロス処理について、国側は、国としても公的資金を出すが、「当時の東京協和、安全、コスモ信組の監督官庁である東京都も負担すべき―」と、都に三百億円の負担を求めてきた。が、都側は都議会で議案が通過しないため負担に応じていない。
 当面、この三百億円は全信組連が肩代わり負担するが、国側は今後も都に負担を求めていく方針。

先行き見えない保険窓販
3ヵ月後なのに取扱商品も定まらず
 来年四月から金融機関での保険窓販が解禁される。損保会社等が早くから準備を進めているほか、各金庫でも保険取扱資格の取得が始まっている。
 KSD問題で図らずも露になってしまったが、信金を通じての保険販売力には、相当な起爆力があり、保険会社も注目している。
 そのため、損保会社では、現在、信金向け保険資格取得講習会を盛んに行っている。特に、信金業界と全信懇の関係で関連が深い共栄火災。また、従来から信金への食い込みが深い安田火災が、それぞれ各金庫向けに火花を散らし、共栄が百数十金庫、安田が九十数金庫獲得−というデッドヒート≠ニなったようだ。
 共栄火災では、すでに今年の四月に、信金窓販セクションを立ち上げ、二十名が窓販推進専任者として準備に当たっている。また、全国各地の営業店も、信金とのコンタクトを密にしている。通常の講習以外に、「共栄の独自サービス」と銘打ち、ファックスやEメールでの質問受け付け、ビデオやCD−ROMの貸出等々で信金に働きかけている。
 安田火災では、商品・事務・システム一体化の金融機関向け火災保険商品プロジェクトチームを昨年四月に発足させたが、先月、ここで開発した金融機関向けの火災保険の新商品を発表。早速、これを都銀、地銀、第二地銀、信金等に提案し、来年一月から三月は、行職員への販売教育やシステム導入を図っていくとしている。
  信金側も、保険資格取得が進んでいる。朝日信用金庫(理事長・塚原和郎氏)では、保険取扱資格(初級試験)を、この機会に総合職全員に取らせることとし、第一弾として、十一月二十一日に、支店等職員七百七十六名が受験。さらに、第二弾として本部関係三百七名、計一千八十三名が受けた。特に金庫で講習や研修は行わず、一ヵ月前から各自にテキストを持たせて勉強させた。ほか、各金庫でも、保険資格取得が始まっているようだ。
●当初は住宅ローン付火災保険程度
●損保は窓販解禁に期待大だが生保は慎重
●保険、金融機関の第四の業務≠ノ??
●変額保険、日産生命破綻、KSD−金融機関はこれまで保険窓販で失敗にヤケド続出


さがみ、西相から36人受け入れ

さがみ信金、宮城野支店新設オープン


保存版資料・「信金制度50年の歩み」








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