2001/2/5号
東京センター、「独立組」と「移行組」に真っ二つ
−信金次期システム、いきなり暗礁に

 金融新時代のコンピュータ投資コスト削減と業界の連帯協調により異業種・業態とのサバイバル競争に打ち勝つことを展望した全国信金次期システム構想は、プロジェクトチームの発表と同時に、大きくつまづいた。かねて「全国システム構想」に、難渋の態度を見せ、「あえて反対はしないが賛成もしない」などとしてきた東京共同事務センターでは、さる一月二十九日の理事会で、機械のレベルアップに伴う設備投資計画案に賛成の議決をした。さらにこれを二月の総会で承認することにより、全国的システムとは別に東京共同独自のシステム構築に全力投球の方向となった。東京共同サイドは、全国システム構想が、共同システムに三十年近くの実績のある東京センターを無視して、自営主力のプロジェクトを組むことは、数の上では絶対多数の我々共同傘下の中小信金の立場を完全に無視するものであるとしており、この方針を転換しない限り、全国システム構築には絶対に協力できない、と頑強に反対の意向を示している。しかしながら、東京共同の会員の中にも、執行部や一部金庫の一方的な意向だけで、我々の次期システム構築の選択肢を奪われては困る。全国システムの方向を見極めてからでも最終的態度表明は遅くない、とする批判、不満組もあり、今後の動向は極めて注目される。次に「東京共同」の意向を取材した。

●全国構想に反対はしないが、話には乗らない−東京センター
●「東京独立」方針は昨年5月から変わらず
●独立へのなし崩し策、機械のレベルアップへ
●「共同を出て行く金庫は、6年分のペナルティを払え」
●東京センター執行部独走体制に批判高まる
●守旧派執行部の主導権争いの「代理戦争」か
●システム経費支払いのできない所も?
●目前の経営で頭が一杯で「システムなおざり」の首都圏金庫
●「共同」の続行は、後の経費倍増の先送り策との声も

「全国信金次期システムは、大型自営金庫偏重だ」
−東京センター・矢澤理事長が力説
 信金東京共同事務センターの矢澤理事長は、さる一月二十六日開催の信金次期システム戦略会議の特別委員会に出席したあと、本紙記者と面談。信金次期システム構想は共同センターの次期<Vステムではなく、自営金庫を主体とした新<Vステム構想であり、金庫数で八割以上を占める既存の共同センター加盟金庫の存在を全く無視したものとして、この構築協力に真っ向から反対の意向を示した。

東京共同加盟金庫、「途中で新システムに乗り換えればいい」と、安閑
−東京センターの機械投資にも無関心?

 東京共同の加盟金庫には、「途中まで共同を使って、次期システムの方が良さそうなら、その時そちらに乗り換えればいいだろう」とのんびり考えている所が多いようである。しかし、システム開発費用の支払いというのは、「月謝」ではなく、「ローン」。つまり、月々利用した分だけ金を払えば済むというものではなく、みなで集まって最初にシステムという大きな買い物をし、それを毎月分割で支払う形なのである。
 そのため、2004年度の共同センターのシステム更改期に合わせて現在、信金次期システム構築が進められている。共同から次期システムにシームレスに乗り換えれば、二重投資負担にならずに済むためだ。
 ところが、このタイミングを逃し、のんびりと2005年度以降に次期システムに移ろうとすれば、当然、共同センターの「残債」(ローンの残り)を支払って出て行かねばならないと見られている。この「二重投資」費用は、中小金庫でも年間億単位と見られ、大金庫でも業務純益年間数十億円の厳しい中、金庫経営をノックアウト≠オかねない巨額費用となると言われている。

新理事長に斉藤専務
茂木氏、会長へ−西京信金


信託業務、本体で
 金融庁では、一月二十六日、これまで都銀等の「子会社」でしか扱えなかった信託業務を、都銀等の「本体」でも扱えることとした。都銀等は「本体」で貸付信託、年金信託、特金、ファントラ、証券投資信託、公益信託、特定贈与信託などが扱え、大幅に業務が広がる。
 ただし、「信託銀のメイン業務」と言われる遺言信託。また不動産の売買媒介などの不動産関連業務については、都銀等の子会社、本体ともまだ参入できず、信託銀の権益も守られた格好になっている。
 信託銀行は安田信託が平成十一年三月に富士銀行の子会社に。三菱信託、日本信託が、三菱銀行と今年四月持ち株会社方式で統合、三菱信託、日本信託、東京信託が今年十月までに合併。東洋信託が今年四月に三和銀、東海銀と持ち株会社設立。中央信託と三井信託は昨年四月に合併と、再編が相次いでいるが、「今回の参入範囲拡大で信託銀行の存在価値≠ェ薄れ、都銀と信託銀の再編が一層進むのではないか」(金融関係者)と見る向きが多い。
 信金中央金庫も、地域金融機関として本体参入が認められ、今後、しんきん信託の統合を検討する可能性もある。
 なお、今回、信託業務の本体参入が認められたのは、都銀、長信銀、地銀(信金中央金庫等含む)、農林中金

信金の劣後債発行等も−金融庁・規制緩和要望を検討
 このほど金融庁では規制緩和要望に対する検討状況を中間報告した。信金関係では、劣後債の発行、法人会員資格の拡大、卒業生金融の期間制限の撤廃などを検討中。出資の配当や消却は認められない方向。

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