2002/3/25号
二転三転の永代譲受問題…
−外資二行が入札に参加
 迷走に迷走を重ねていた永代信組の受け皿問題は、外資二行との入札の末、三月十三日、東京東信金(理事長・高橋久雄氏)並びに昭和信金(理事長・藪崎丈尚氏)への事業譲渡で落着、事業譲渡に関する基本合意書が締結された。だが、一月十二日の永代信組強制破綻から丸二ヶ月、この東京・下町(深川)の小さな金融機関の行き先は信組、信金、外資−と、二転三転、揺れ続け、最後には東京スター銀行、関西さわやか銀行の外資二社と、地元の東京東信金が「入札」で争い合うという異例の争奪戦≠ノまで発展した。一見、「受け皿は、当初、有力視されていたひがしん(東京東信金)に結局は戻ってきた」(関係者)だけに見えるが、この二ヶ月間、水面下で、外資系銀行、金融庁、政治家、労組、信金、現場の財務局、地元の中小企業、そして永代信組旧経営陣が入り乱れ、それぞれがそれぞれの思惑を持って目まぐるしく動き、永代問題は二転三転を余儀なくされた。永代をめぐるこの二ヶ月間の攻防を追った。


永代取引客二百数十名が強制破綻に抗議集会
−資金繰り悪化で切実な声
 さる一月十二日の金融庁による永代信組「強制破綻」に抗議し、永代信組総代・組合員らが三月十二日午後七時より、深川の東京江戸資料館で集会を開いた。会場の小劇場には高齢者を中心に二百数十名が参集し、満員に。一方、小零細企業の声をこの日聞きにきたマスコミは、NHKら若干。  参加した小零細企業経営者らは、永代の強制破綻で日々の資金繰りに困り「企業存続」の危機に直面しており、「小零細企業の悩みを、金融庁は全くわかっていませんよ! 取引先金融機関が破綻するということは、私達に『死ね』ということですよ!」など、声を張り上げて金融庁への激しい憤りをぶつけていた。

信金駆込み合併続く
−群馬中央・大栄、伊豆・下田、水戸・土浦
●群馬中央・大栄信金合併へ
 【群馬】群馬中央信金と大栄信金では、今年十一月十八日に対等合併することで基本合意し、三月十二日午後三時より前橋市の群馬県商工会議所で両理事長が記者発表した。
 不況の影響で中小企業の倒産が続くなど厳しい経営環境が続いていることから、合併によりスケールアップして経営基盤を強化するとともに、コンピュータや店舗等、経営の合理化を図るもの。両金庫で少なくとも五店舗が重複しており、統廃合による経費削減効果が今から見込まれている。
 合併後の規模は、預金量四一四二億円、貸出金二四六四億円、店舗数四十九店(今年二月末)となり、預金、貸出金とも群馬県でトップとなる。
 
○伊豆信金、下田信金合併へ
 【静岡】伊豆信金(本店・伊東市、理事長・山田恒夫氏)と下田信金(本店・下田市、理事長・鈴木市郎氏)では、この秋をめどに合併することで合意。また、下田信金の西伊豆、松崎の両支店を三島信金(本店・三島市、理事長・大村俊之氏)が今秋をめどに譲受することで合意し、三月七日、三金庫が記者発表した。
 合併後の預金量は約一千六百億円。名称は伊豆信金。理事長は伊豆信金理事長の山田恒夫氏で、本店も伊豆信金に置く。
 
●水戸、土浦合併で、1兆円金庫に…
 【水戸】水戸信金と土浦信金では、来年一月六日に合併することで基本合意し、三月四日、記者発表した。水戸信金は石岡信金を譲受することも決まっており、合併・再編後の預金量は1兆円規模になると見られている。

東都中央と東京産業、合併を正式に決議
 今秋合併する東都中央信金と東京産業信金では三月十二日に臨時総代会を開き、正式に合併決議を行った。店舗の統廃合や役員新体制については、六月の総代会で上程される。もっとも店舗重複は殆どないため、店舗統廃合はあっても若干の模様。  現在、両金庫では合併準備委員会が毎週、長時間に亙る会議を開いて、フル稼働で合併後の骨格を策定中。

水戸信金、石岡信金を譲受へ
−出資金は県内信金で全額保護
 【水戸】茨城県石岡市に本店がある石岡信金が破綻、三月一日金融庁に対し債務超過による破綻申請を行った。
 これを受け金融庁では直ちに金融整理管財人を任命。金融担当の整理管財人には前の宇都宮信金の金融整理管財人だった渡辺 洋氏が、法務担当には茨城県弁護士会の関 周行弁護士が選任された。
 破綻申請を受け、水戸財務事務所では、午後六時半から、荒巻金融安定監理官、金室水戸財務事務所長、検査監理官などが出席して、記者会見を行った。
 一方、午後八時からは、水戸市内の水戸信金本店で、茨城県内信金の全理事長が出席し茨城県信協としての記者会見が予定されていたが、急遽水戸信金が石岡信金を譲受する会見となった。
 会見の冒頭に当たり挨拶した西野一郎茨城県信協会長(水戸信金理事長)は、「石岡信金の出資金十五億円のうち善良な出資者の出資金については、全額保護する」と語り、石岡を除いた水戸・土浦・結城の三信金で保護することを表明した。

中部銀行、資金ショート破綻
−大ブロシキのPRが逆にアダに…
 【静岡】三月八日、静岡の第二地銀、中部銀行(頭取・栂井尚志氏)は、預金流出による資金繰りの悪化により、金融庁に預保法に基づく破綻処理を申請した。資金繰り難で破綻に追い込まれた例は、平成十一年破綻の新潟中央銀行以来。  同行では、昨年十一月の金融庁検査で、昨年九月末の自己資本比率が単体で三・〇五%、連結で二・六三%に悪化。昨年末、金融庁から早期是正措置が発動され、以来、信用不安が広がり、急速に預金流出が進行した。  このため同行では、明けて一月、地元紙一面に全面広告を掲載し、「増資後の自己資本比率は一〇%以上に」とPRし、信用不安をかき消そうとした。  だがこれが「根拠の薄い見込み」と、逆に金融庁から業務改善命令を食うことになり、預金流出が加速。  結局、早期是正措置発動からわずか二ヵ月間に預金量の一割以上の四百四十五億円が流出するという事態に至り、ついに事業継続を断念したもの。
 

暁信組、最後に破綻
−実質的な魚市場業域信組だっただけに、「何とかならなかったのか」の声も
 三月十五日都内築地市場に本店本部がある暁信用組合が破綻した。  暁信用組合は地域信組だが、実質的に築地市場にある魚市場の中卸を中心とした業者と築地周辺の魚関係者を対象にした業域信用組合。バブル崩壊以来急速に不況の影響で需要が伸び悩む一方、デフレ経済の中で流通コストを乗せることができず、仲買人等が負担する状態が続いていた。同信組では、関係の深い商工中金に劣後ローンなど自己資本充実への協力を要請していたが、法令を盾に拒絶され、ペイオフを前に昨年十二月実施した内部の自己査定で二億八千万円の債務超過となったことから、破綻申請を出したもの。  

東信協会長に、大前氏
 三月十五日の東信協理事会で、会長の茂木 勇氏(西京・会長)が辞任し、後任に大前孝治副会長(王子・理事長)を選任した。茂木氏は、昨年六月に東信協会長に就き一年足らずだが、健康上の理由から、任期途中での交代となった。
 大前孝治東信協新会長は、年齢は六十五歳と、まだ「若手」の部類だが、平成七年五月より東信協副会長を務め、金庫にあっても丸二十年理事長を務めてきたベテラン信金経営者である。
 大前理事長は、元経営陣の不祥事から破綻かと言われたしんきんクレジットの再建に平成二年より副社長、五年より社長として身を投げ出し、見事、黒字優良会社に再生。また城南信金が合併交渉の最後のツメになって投げ出した武蔵野信金の経営危機に対し、自金庫での合併引き受けを即座に決めるなど(平成九年三月合併)、「業界のために『火中の栗』をあえて拾う」男気≠ニ実行力≠ェ高く評価されている。
「東信協会長としても改革、革新の新風を吹き込んでくれるのではないか」と期待は大きい。


次期システムには保留回答を!
−東京共同センター


5つのイノベートが苦境脱出に
−立大・斎藤教授、千代田区しんきん協議会で
 千代田区内に店舗を持つ七信金が構成する千代田区しんきん協議会では、長期不況に苦しむ取引先中小企業のため、ズバリ、「不況脱出デフレはいつ終わるか」をテーマに、斎藤精一郎立教大社会学部教授の講演を三月五日、千代田公会堂にて行った。

相互信金譲渡、「否決」
−RCC行き≠ノ取引先怒る
 先に破綻した大阪の相互信金では、三月十九日の臨時総代会で大阪信金への事業譲渡が「否決」となる異例の事態となった。

メリハリ予算決まる−東信協総会

船橋の出資金毀損を確認−関信協総会

文化産業信組、新本店オープン




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