2002/6/25号
ペイオフ解禁、意味なし!
−不良金融%荘ソは別の方法で…
 「流動性までペイオフ解禁になれば、日本の金融システムは間違いなく崩壊する」(某金融機関)。
「流動性預金のペイオフ解禁は、大手行から中小金融機関まで死活問題≠ノなる」。
 そんな声が金融業界に逆巻き始めている。
「金融庁ではまたぞろ『ペイオフ解禁』をダシにして、なかなか進まない地域銀行の合併を進めようとしているが、実に危険な考えだ。都銀では流動性の比率が半分に達し、中小金融機関でも三割に及んでいる中、ペイオフ全面解禁を行えば、この預金がドッと抜かれる可能性がある。
 柳澤金融担当大臣は『金融機関が健全性を高めて、預金者の信頼を得れば…』などと言っているが、一般国民は、もはや金融機関を信用していない。大手行への信任も、東京三菱銀にあるぐらいで、あとはペイオフ解禁の事態に持ち堪えられるかどうか。
 大手行でさえ足取りはまだおぼつかず、金融危機は去ってはいない。株式市場へのPKOで今年三月を乗り切ったが、株価が低迷すればまた問題が出てくるだろう。
 こんな状況の中で解禁すればどうなるか、金融庁には危機感がないのか……?」
 と、ある金融機関関係者は苛立ちを見せる。
 
●「東京三菱」以外は不安!−少額なのに預金者動く
●流動性流出が融資の蛇口閉める
●ペイオフ解禁前に郵貯との不平等是正を!
●誰のため、何のためのペイオフ解禁なのか
●ペイオフ解禁、「百害あって一利なし」
●信金、要求払預金と貸出金の推移グラフ


長野全信協会長、「ペイオフ延期」を要望
−地域金融にも空洞化の懸念
 スマートな物腰ゆえに、「積極性がないのでは…」と一部で揶揄されてきた長野幸彦全信協会長。その長野氏が、「金融庁とケンカするつもりでやる!」と、六月二十一日の信金大会に臨み、「一番に表明してしまうと、自分の業界が弱いと見られるのでは…」と、どの金融業界も公式には口をつぐんでいる「ペイオフ解禁延期」要望を、柳澤金融担当大臣を前に、ハッキリと打ち出した。
 長野会長はここで「大手銀行への資金シフトが顕著になればなるほど、中小零細企業や地域経済に必要な資金確保が困難になり、その結果、『地域の資金を地域に還元する』という地域金融機関本来の社会的役割も果たせなくなる」と、「地域金融の空洞化」に強い懸念を表し、「景気の自立的な回復が確認され、金融システムの安定化について預金者等の不安心理が払拭され、円滑な資金供給の確保が確認されるまで、決済性預金の全額保護を続けることが必要」と述べた。
 折りしも、中小企業団体である日本商工会議所の山口信夫会頭も、六月二十日の会見で、ペイオフ解禁は「地方の信用金庫、信用組合の預金量が減り、中小企業などへの一層の貸し渋りが予想される」とし、「景気が回復して金融機関の信用状況が良くなるまで延期すべきだ」と改めて延期を要望しており、長野会長の発言はこれに呼応するものだ。
 また、信金以外の金融業態でもこの決済性預金のペイオフ解禁については、「柳澤金融担当大臣は、『金融機関はペイオフに耐えられる預金者の信頼を得ることが大事』と言うが、ごく一部の大手銀を除き、ほとんどすべての金融機関が、その健全性に何ら関係なく、三割、四割といった激しい流動性預金へのシフトに見舞われている。このままペイオフが解禁されれば、正常な金融は成り立たなくなってしまう。金融機関は自分の資金繰りの心配で一杯で、融資などろくにできなくなる」
「金融庁ではペイオフ解禁をダシにして金融機関の破綻・再編を行ってきたが、無理矢理解禁すれば、経済がこんなに疲弊している時に、ただむやみに混乱を招くだけだ」
 と、憂慮する声が高まっている。
「地銀、第二地銀、信組も、『ペイオフ解禁反対』が本音という所が多い。しかし、一番先に手を上げてしまうと、『何だ、あの業界は経営体質が弱いからそんなことを言うんじゃないか』と逆に風評リスクの可能性があるのでみな黙っていただけ。『情勢が整ってきたら…』と、ペイオフ解禁反対のタイミングを窺っていた業界もある」(関係者)とされ、そのため今回の長野発言≠契機に、徐々にこうした声が金融業界から出てくるのではないかと見られている。


中小企業融資の実状、訴える
−信金大会で長野全信協会長
  

社会貢献賞に川崎信金ら
 全信協では、六月二十一日午後一時より経団連会館ホールで第百十期通常総会を開き、十三年度決算等につき審議、承認を得た。  併せて第五回信用金庫社会貢献賞の受賞者が発表された。今回、会長賞を受賞したのは、川崎信金(理事長・寺尾嘉剛氏)の「川崎ジュニア文化賞」。これは川崎市内の小学校五・六年生を対象に作文、絵画を募集し、大賞受賞者に子供親善大使として川崎市の姉妹都市へ親善訪問、国際交流を深めているもの。十年に亙り行われている活動で、今ではすっかり定着して毎年三千点近くの応募が殺到している。  「Face To Face賞」には、須賀川信金(理事長・柳沼勝馬氏)の「松明あかし武者行列の保存・継承」。同じく「Face To Face賞」に、姫路信金(理事長・三宅知行氏)の「子供の詩 有本芳水賞」。「奨励賞」には呉信金(理事長・大年健二氏)の「地域の高校生に対するイラスト募集活動」。西京信金の「お年寄りへの昼食宅配」(理事長・斉藤昭雄氏)。「特別賞」に新庄信金(理事長・井上洋一郎氏)の「まちづくり会社(TMO)の設立と中心市街地活性化」。奈良中央信金(理事長・中嶌實男氏)「NPOローン」。他、特別賞(個人)に横浜信金・村田秀雄さんの「手話ボランティア活動」。尼崎信金・西村治雄さんの「奇術を通じて社会貢献」が選ばれた。  


「NTTデータの管理下でシステム障害」
−5月の信金システム障害の報告
 六月二十一日、SSC株主総会が開かれ、五月に発生したシステム障害の詳細原因について報告が行われた。説明によると、
 @システムの運行管理をしているNTTデータ側のSSUという記憶チップが破損
 Aそれを監視し、エラー前に警告を出すプログラムソフトにバグがあり、警告が出なかった
 Bバックアップ機能が働かなかった
 と、3点のミスが重なったのが原因。
 だが、重要個所の記憶チップへの破損をはじめとし、3点ものミスが重なるということは、確率的には非常に稀なことであり、関係者も「普通、あり得ないこと」と首を捻っている。
 運行管理を務めるNTTデータ側は、障害発生後、NTTデータ社長がSSC側に謝罪したが、SSCの総会には姿を見せなかった。
 このため、障害原因がNTTデータ側にあったことを知らない信金トップらも多い。むしろ、障害発生後すぐに謝罪した姿がテレビで全国に放映されたSSC側に「全責任アリ」と誤解している人も少なくない。
 後に事情を知った信金理事長からは、「NTTデータの方が本来、公の場に出て謝罪しなければならないはずなのに、道義的におかしいのではないか」との声が上がっている。  


横須賀、藤沢地域に注力
−三浦藤沢信金、六会、鵠沼支店を新装・新築オープン


次期システム参加は、現行システム後に(尼崎信金)
 

クローズアップ
近畿クレジット社長・新堂友衛氏(大阪市信金理事長)





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