1998/3/5号
目的積立金取崩勘定の変更、1年延期へ

協同組織金融機関の決算様式の変更が一年延期となり、今期まで「目的積立金」の取崩を「特別利益」に計上できるとする大蔵省令第十一号が二月二十七日に発令され、四月一日から施行されることとなった。
そもそも一昨年六月成立の金融三法の一環で信用金庫法が一部改正され、また公認会計士協会から一昨年八月頃、「目的積立金の取崩を特別利益に計上するのは、二度、利益を計上することになり、おかしいのではないか」との指摘もあって、 協同組織金融機関では今年三月末決算から目的積立金取崩が「特別利益」でなく「当期未処分剰余金」に計上されることになり、昨年、省令が出されていた。
しかし、これでは、東京や大阪など地価下落が激しい地区では償却額が 多額に上るため、期間損益が黒字であっても、積極的な償却をする場合は、当期利益が赤字となるケースが出てきてしまう。
これでは、大手金融機関の破綻や不祥事で金融不信が進む中、顧客の動揺が懸念され、場合によっては取り付け騒ぎすら起こりかねないー。
こうした事態を憂慮した大阪府信協、東信協、関信協の加盟金庫から全信協に、 この積立金取崩の変更を一年延期するよう、行政当局に働きかけてほしいとの要望が出ていた。

共同事務センター料金問題、いよいよ最終調整へ

共同事務センターのソフト開発料金分担問題は、 かねがね既得権益を主張する東京センター側の固執から、長年、 常に「古くて新しい問題」とされてきたが、徐々に何らかの進展があるやに見られてきた。しかし、昨年九月に関係者協議会を設立して本格的に見直し論議に入るまでは、この問題に触れることはやや「タブー視」されたーいわば「地雷原」の課題であった。本紙では昨年八月にこの料金問題について取り上げたが、いまなお流動的で最終結論には至っていない。本誌編集部では、この料金問題の実態と今後の展望を特集した。
ここ十数年来、燻り続けてきた共同事務センターのソフト開発費料金配分問題に、初めて地方センター側からの強い不満が爆発。その実態が表面化した。
 同料金配分問題では、以前から北海道など一部の地方事務センターから、「何十年も前の『既得権』を下敷きにした“東京有利”の配分であり、時代も変わったいま抜本的な見直しが必要」との声が出ていたが、「少数意見」だったため、これまで大きく取り上げられることがないまま今日に至った。
 と言うのも、料金配分の方法、その根拠、経緯、決定組織などについては、専門的な要素が強いこともあって、ごく一部の当事者のみが知っていただけで、多くの信金が実質的には「知らされていなかった」というのが実情のようである。
 そのため、「ポスト三次九・五バージョンだけでも、全信協の一般会計予算の二・五倍」という巨額に上るソフト開発費(未払分のみ)でありながら、その料金や配分が妥当なのか否か、さして問題意識もなく、NTTデータや共同センター関係者のみの協議で支払ってきた―というのが実状のようであった。
 しかし、昨年、渡邊佐男東北地区信金協会長(仙南・会長)が、今までの料金配分方法や決定組織のあり方に「一石」を投じたのをきっかけに、加えて小紙・昨年八月二十五日号で、料金配分に異議を唱える地方センター側の意見と、これを受けて立つ東京センター側の意見をまとめて特集したところ、この問題が全国的に大きな関心と反響を呼んだ。
 そして、料金配分決定機関も従来の各地区センター委員長会から、全信協・佐原常務を座長とし、各地区センター運営委員長(理事長)、各地区信金協会長らから成る関係者協議会に改められ、昨年九月より抜本的な見直しの論議(月一回)が始まり、初めて料金問題で活発な議論が交わされることになった。
 地方と東京で真っ向から利害が対立する問題だけに、果たして話し合いがまとまるのかと、懸念の声もあったが、良識ある協議会メンバーの議論により、双方とも大きく譲歩し合った結果、さる一月二十二日の協議会で、とりあえず平成九年度支払分までの料金配分が決定したものである。



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