1998/4/5号
ビッグバンで「外貨預金」取扱いが急増

いよいよ日本版ビッグバンが始動。そのフロントランナーとして、四月一日より改正外為法がスタートした。
早速、シティバンクでは一般紙四頁全面を使って大々的に広告を掲載し、外貨預金、プライベート・バンク、四月から新たに扱う米ドル決済専用クレジットカードをPR。
都銀では第一勧銀が四月から外貨預金(四通貨)の取扱を全店に広げるとともに、三月三十日からオペレーター対応による二十四時間テレホンバンキングを実施し、外貨預金の新約や相談を受け付ける。
住友銀行では、すでに一月よりテレホンバンキングによる外貨預金申込を受け付けており、二月からテレホンバンキングが二十四時間対応。
三和銀行では電話で外貨預金開設や為替予約が可能に。四月からは本支店の外為窓口を二階から一階に下ろし、“特別扱い”から“一般扱い”へ。「外為窓口はこちらです」との表示を掲げたり、松 たか子のポスターで、一般顧客に強力にPRする。
東海銀行では、初めての顧客でも簡単に外貨預金が作れるよう、今までオーダーメイドだった外貨預金を定型化し、全店で実施。
またあさひ銀行では両替サービスを一気に全店に拡大。大和銀行は両替手数料を一ドルにつき三円から二・八円に引き下げ。また四月よりほぼ全店で外貨預金取扱ができるようにした。なお昨年十一月より一般顧客向けにパック化した外貨定期預金を始め、同十二月より米ドル建てについて為替レートを優遇している。
信金業界では、一定規模以上の顧客にしか関係ない問題―として、多くの信金では静観しているが、「富裕層」を銀行と奪い合う大手信金では、超低金利に個人層がしびれを切らしていることもあり、外貨預金を中心にテコ入れを図る。
尼崎信金では、すでに昨年十月より為替予約を可能にするなど外貨預金の商品性をアップするとともに、同十一月より両替サービスを全店に広げた。
さらに岐阜信金が、四月一日から、@新型外貨普通預金・外貨定期預金の取り扱いA全店両替店化B外国為替手数料の改定を実施。
京都信金、埼玉縣信金では四月より外貨預金のパック商品を発売、京都中央信金では昨年六月から扱っていたパック商品を全店取扱いとし、一般個人客に売り込むほか、東京の朝日信金が五月からの外貨預金取り扱いを予定している。
「拓銀・山一は死んだ」−−
厳しいビッグバン時代に、入社・入庫式のトップ訓示が様変わり

「北海道拓殖銀行が九十八歳で死にました。 山一証券が、百一歳でこの世を去りました」−。 自然界の法則である「適者生存」になぞらえ、金融ビッグバン時代の サバイバルの厳しさを、いみじくも的確に表現した川崎信金・柳川理事長の 入庫式の訓示は、一般紙や夕刊紙などにも報道され、話題となった。
接待疑惑に揺れた大蔵省・日銀を始め、今年の各金融機関でのトップの入行・ 入庫式の訓示は、例年になく反省を基点にした厳しい内容のものが多かった。
特に、これまで比較的地味な川崎信金や朝日信金の各理事長が、一様に 激しい口調で、金融ビッグバン・早期是正措置スタートを、直面する未曾有の危機と 捉え、相当な危機感と決意を露にして、新入職員ばかりでなく現役職員に対し、 この事態を乗り切る強い姿勢を示した。



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