1998/4/15号
信金年金基金、最大のピンチ
積立て不足1000億円に膨張

全国信用金庫厚生年金基金(理事長・中嶋榮治多摩中央信金会長)は、運営上、今最大のピンチを迎えている。信託銀を始め生保、投資顧問等に任せっぱなしにしていた資産運用が予定利率を大幅に下回り約一千億円の含み損を抱えているからだ。会計上では、財政再計算を行い形式上はゼロになっているが、現在大蔵省が進めている企業会計審議会で企業年金の会計整備草案をまとめており、その中で二〇〇〇年度に、会計の透明化が打ち出され運用の悪化や過去の給付水準の引き上げ等で生じた積み立て不足が生じた場合に、引当金として会計処理しそれを有価証券報告書に注記することを義務づけている。一定期間内の均等額を引当金として負債に計上するため、仮に一〇〇〇億円の積み立て不足が生じた基金で一〇年間で会計処理する場合、毎年一〇〇億円の引当金を計上しなければならなくなる。
信金年金は全国の信金またその関係団体に働く役職員の老後生活の安定と福祉の向上を図るため、昭和四十二年一月に厚生年金保険法に基づく特別法人として設立された。現在は資産一兆円。加入者数十六万人と、規模では全国一の企業年金を誇っているが、運営や資産運用等についてはいわば素人集団。運用専門のエキスパートは皆無と言った状況にある。
 資産運用の目減りが激しい状況にあって、このままでは来年四月から上がる予定の年金掛け金を、更に続けて上げなくてはならず、金庫役職員の老後のための年金制度そのものが、現在の約職員に大きな負担となり、成りたたなくなってしまうのでは?と懸念されている。
 金融ビッグバンが本格化する中で、果たして年金基金はこのままで良いのかどうか。問題点を探ってみた。



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