1998/9/5号
都市部信金、相援処理、限界に!
信用金庫業界では、これまで経営不振信金が出ると、預金者・出資者等を守るため、各信金が資金を出し合っている「相互援助資金制度」をうまく活用して、主に合併による再編を進めてきた。特に相援が改正・強化されてからは、信金業界内の再編が急ピッチで進み、相援は信金業界の信用を守るため大いに役立ってきたと言える。ところが、長期不況で都市部信金の恒常的経営不振が続く中で、もはや合併による再編は困難となってきている。また業界内再編支援制度の 「相互援助資金制度」の枠も限度一杯に。しかし、預金保険の利用は、業界の信用問題に関わってくる…。

預金保険料少額の割に、公的資金使い振りピカ一は「長銀」
各金融機関は、 預金者保護のため預金保険料を毎年支払っているが、 保険料「支払額」と、預金保険・公的資金「使用額」を比べると、 最も使いっぷりが良いのが長信銀。支払額の6151%を 使う見込みになっている。次が大規模破綻が相次いだ信組業界。 ほとんど使っていないのが信金と地銀で、ともに「支払額」の16%しか「使用」していない計算になる。


平成4〜10年度の業態別預金保険「支払料」と、預金保険・公的資金「使用料」 (単位・億円)
都銀地銀第二地銀信託銀長信銀その他共銀行計信金信組労金合計
預金保険・公的資金使用料18,99070011,9585,1008,36645,11446020,370--65,944
平成4〜9年度預金保険料支払5,1224,3661,6611,57713612,8652,73663228016,515
預金保険・公的資金使用料/保険料支払370%16%719%323%6151%350%16%3223%--399%

数字は一部概算、予定を含み、仮に拓銀が1兆円、長銀が5000億円使用するものとして計算してある。 9月9日に、預金保険機構は第二地銀の福徳銀行となにわ銀行から3018億円の不良債権を買い取る方針を決めたため、 これもデータに含めた。
なお、公的資金からの自己資本注入は、本来、健全金融機関のみに対するもので、また各金融機関側の返済を義務とするものではあるが、 焦げ付く可能性もあるため、あえて公的資金使用額の中に含めた。


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