1999/7/15号
ペイオフ実施まで1年8ヵ月
ー各金融業態、利用者の動きは?
「日本の金融システムが根底からひっくり返る」と言われる程、その実施の影響の大きさが懸念されているペイオフ問題。先の日銀アンケートでは、ペイオフを熟知している人の半数が「預金を移す」「すでに移した」と回答するショッキングな結果が出た。「ペイオフ問題を知っている人が二割しかいない今でさえ、既に預金流出が起きている。これからペイオフ解禁が広く一般に知れわたったら、どんな事態になるのか…」と、金融関係者の不安は募る。こうしたことから金融審議会でも、政府与党などからの見直しの声を受け学者を中心にソフトランディングに向け、論議されているがペイオフまであと一年八ヶ月弱となった今、現状はどうなのか。当社独自に行ったアンケートをふまえて、地公体や個人のペイオフ問題への意識や、金融各業態の立場等をまとめてみた。

多様な再編手段を模索 大蔵省金融審議会中間とりまとめ
大蔵省金融審議会第二部会では、ペイオフや預金保険の問題について議論しているが、このほど中間整理として論点と議論の概要を発表した。  全体に、「自己責任時代=ペイオフありき」ではなく、多様な再編方法を具体的に模索しているのが特徴。その一方で、ペイオフ時対応の問題点整理も行っている。  また、現行ではペイオフ時に当座支払われるのはわずか二十万円の仮払金だけで、企業等の決済が行き詰まり、連鎖倒産の恐れがある。このため、決済性資金については「全額保護」の方向で検討されている。 

大蔵人事 (各財務局詳細人事付き)
大蔵省・金融監督庁では、七月一日〜十六日にかけ、 人事異動を行った。 注目の事務次官は国税庁長官の薄井信明氏。 大蔵省の国際金融の“広報官”“円マフィアのドン” と呼ばれた榊原財務官の後任には黒田東彦氏が就いた。 また武藤敏郎大臣官房総務審議官は主計局長に。 金融企画局長には、中小金融課長、銀行課長等、 金融企画・行政に通じた福田誠氏が、ペイオフ問題、金融金融機関各局、金融監督庁をまとめて新省発足に向けた重要な舵取り役となる。

信組業界、団体リストラへ
会員数の急激な減少と長期不況等から経営が低迷していたゼンシン商事と全国信組不動産は、六月二十五日、信組会館で総会を開き、今年十月に「合併」することを決議した。  新会社名は、「しんくみ総合サービス株式会社」。  存続会社は全国信組不動産で、合併比率は不動産四:ゼンシン商事一。本店はゼンシン商事に置く。    信組は十年三月末で三五一組合あったが、十年度中二十九組合が減少。その後も四十組合が減り二八二組合となる見込みで、信組関連会社も再編となったもの。また全国信組不動産自体も信組本体が不動産取得できるようになったことから、ほぼ役目を終えていた。

「潰すべきは潰すべき」 ホームページ“再編アンケート”
本紙では、最近の銀行破綻並びに金融機関再編について、全国の消費者の方に金タイホームページでのアンケートを実施してみた。  年齢別では二十代後半から五十代にかけてと幅広かったが、全体に従来の「恵まれた経営環境や処遇」に対しての「怨嗟」に近い批判的な意見が多く、この際、潰れるものは潰して、より健全な金融機関だけにしてほしい、という厳しい意見が多かった。 次に、その代表的ないくつかの意見を列記してみた。
  
 金融機関の再編はとてもいいことです。  これまで高い給料と庶民を見下した偉そうな態度でつけあがっていた金融機関が淘汰されて、本当に残るべきところだけが残って行く時代になってゆくのは、本当に気持ちがいいし、スカっとします。(埼玉県川越市・三十代・会社員)   
 金融機関の再編よりも私にはデビットカードなどの金融機関を使った電子マネーの方が興味がある。要なものは今後も大いにすべきである。(飲食店・男性)   
 最近続いている金融機関の再編について。やっと金融機関にも競争原理が入ってきた。つぶれるところはつぶれてもかまわない。(福岡県・三十代・会社員)   
 淘汰されていくのは仕方がないと思う。(大阪府・三十代・男性・会社員)   
 金融機関の再編と言っても、従来の行政のやり方からすれば、本当に再編できるのか疑問に思いますね。(奈良県・五十代・男性・公務員)   
 ボーナスの季節が近づきつつあります。  私、気になることが有るんですけれど事実上倒産した銀行の銀行員にボーナスは支払われるんでしょうか?  普通の会社員でしたら、営業不振の時にはボーナス〇円もあり得ることなんです。  とっても気になります。私、今年ボーナスは期待できないものでー。(大阪府・三十代・女性・会社員)   
金融機関はゼロ金利と貸し渋りとで莫大な業務純益を挙げ、自らのバブルの失敗を民間に尻拭いさせている。 この現状を改め、経営責任の明確化やリストラによる金融機関の経営の健全化を断行しない限り、金融不安定は解消せず、国民の金融機関、ひいては政治への不安感も抑えることはできないだろう。(埼玉県浦和市・二十代・男性・会社員)   
 最近続いている金融機関の再編には、全く透明性がない(フェアーでない)。経営責任もとらせずに金融支援。そして銀行員の給料や退職金を半分にする等の自己努力もないまま、金利で(銀行だけが)儲かる状況を作っているのは全く許し難い。(群馬県・四十代・男性・会社員)   
   金融機関の再編は、市場原理が働いたグローバルな環境で生き残るために必要最低限な方策である。今まで政府に守られてきた金融業界は、無菌室の幼児のようなものである。いままで如何に消費者へのサービスを二の次にしていたかを思い知る時期である。(群馬県・五十代・男性・会社員)   
 私は、鉄鋼の流通に係わるものですが、当業界でも合併・買収等企業の再編が進みつつあります。金融業界でも、経営強化の目的により再編が進むことは当然です。長い目で見れば日本経済全体にプラスになるものと思います。(神奈川県横浜市・四十代・男性・会社員)    
 どうも納得できませんね。  再編再編といっても、結局国民の税金を利用した後の再編ですよね。  やはり、つぶれる銀行はつぶれたらいいのです。  もちろん、預金者の保護も必要ない!  ただその条件として、金融機関の運営情報をオープンにした上で、破綻する銀行の役員等の給与・退職金・報酬はもちろんカット、さらに、賠償責任も必要ですね。  それに、銀行を保護した大蔵省も責任をとって上層部には何らかの責任をとらすべきです。(和歌山県・男性)

西兵庫信金、21世紀への船出に
役職員、心一つに記念クルーズ
さる五月二十三日に五十周年記念式典を実施した西兵庫信金では、六月二十六日、二十七日にかけて五十周年記念クルージングを実施した。  これは、一連の周年事業のフィナーレを飾るもので、現役・OBの役職員併せて三百六十九人が参加して、姫路港発の豪華客船「ふじ丸」で役職員大会を行った。  二十六日、姫路港の岸壁を離れると早速役職員大会に入り、まず大畑芳一理事長が挨拶。  大畑理事長は、 「西兵庫信用金庫は、この出帆したふじ丸のように、荒波を越えて地域金融機関として今日の確固たる地位を築いてきました。  これからも、この船のように、行き先も、目的も、目標も明確にして役職員一同同じ心の船に乗って、この厳しい時代を乗り切っていこう」と述べた。

湘南信金、信金界初のベンチャーファンドに挑む
【横須賀】湘南信用金庫(理事長・服部眞司氏)と東海大学(学長・田中俊六氏)では、湘南地域等のベンチャー企業育成を目的とした産学連携についてこのほど基本協定を締結し、七月八日、東京・霞ヶ関の霞ヶ関東海大学校友会館で共同記者会見並びに祝賀会を行った。  信金業界では京都中央信金と立命館大学などで産学連携の例があるが、これらは「融資」の形。湘南信金では「投資事業有限責任組合」を立ち上げ、有望企業に「投資」を行う信金界で初めての方式となる。

 
吉永前関財局長の“再編断行宣言”に、 都内信金、青ざめる
六月二十八日、信金第一会館で開かれた東信協総会。各都内信金は、信金の健全性、社会的存在意義を内外に示した二十四日の信金大会の余韻にひたる間もなく、吉永関東財務局局長の厳しい挨拶の言葉に、冷水を浴びせられる形となった。  この日、来賓で訪れ挨拶した吉永局長は、「我々検査監督の第一義は、『健全性を維持できない金融機関は、存在できない』ということである。  そのような金融機関は、検査結果に基づき、自己資本比率のレベルに応じ淡々と処理していく。以前は地域における金融機関の存在価値を考えてか猶予期間を与えたこともあったようだが、今後は先送りは一切認めないし、裁量、情状も全くない。 この七月からの新体制では、『金融検査マニュアル』に基づき、厳しく検査を行う。過去の検査の自己資本比率が維持できるとは思えないという覚悟である。検査の結果、早期是正措置に該当すれば、ただ淡々と処理するだけである」と強い調子で発言。  局長のこの厳しい“再編断行宣言”に、会場内は息を飲み、水を打ったように静まり返った。

東信協野球大会、太陽が三年連続優勝 2部は足立、3部は東京三協が


リレー随想9 「大空に舞う、私達の夢、トキの夢…」新潟信用金庫・小柳 実理事長

桐生・増山会長葬儀に2300人が哀悼




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