福島第一原発映像

 11月11、12日、細野原発相が福島県広野町の福島第一原発施設内部とJ-Villageを視察し、一部マスコミが同行取材した。政府側は当初、記者クラブ所属のメディアと数名の海外特派員のみを同行と目論んでいたが、激しい論争の末、フォーリン・プレスセンター・ジャパン(外国プレスの日本取材支援組織)の参加が認められ、Shingetsu News Agency代表兼イランの国際衛生放送 Press TV日本支局長のマイケル・ペン氏が福島原発に入った。今回、同氏の好意により同映像(動画)ダイジェスト版が小紙に提供されたものである。マスコミ取材中は「入ってはいけないゾーン」や「映してはいけないもの」があり、公開されたのは福島原発の一部に過ぎない。また福島県選出議員らも福島原発内を視察したいと希望したが、「拒否された」としている。


(Windows media player、real player、Quick Timeなどの動画再生ソフトをお使い下さい)











 マイクロバスで作業員らがJ-Villageにやって来る。ここではまだマスクをつけていない者もいるし、マスクを付けていても普通のサージカルマスクで、顔はみな目やら耳やら剥き出し。
 防護服の着脱や放射線量検査等を厳重に行う。作業員らは脱いだ防護服を分別ゴミのようにいくつかの袋に入れる。
 原発施設を出る際は車も人も放射線量を検査され、これにパスしてから退出できる。靴の裏までガイガーカウンターで念入りに測られる。
 マスコミ取材はバスに乗って行われ、一同、防護マスクと防護服を付け、バスに乗り込む。
 無残な姿の建屋2躯体が姿を現す。鉄はグチャグチャに折れ曲がり、コンクリートはぽっかり穴がいくつも開いて向こうの景色が筒抜け。建物には亀裂も入り、表面は剥がれかかってコンクリートが何か紙粘土のように見える。ちょっと大きな地震が来たらぐしゃぐしゃに崩れそうに見える。巨大な赤と白の縞模様のクレーンが2体ある。

 10数人の作業員。みな黄色いヘルメット、防護マスクに防護服姿。クレーンで吊り下げられた鉄板のようなものを下ろしている。

 敷地内はタンク周辺だとか一部建物が損壊している。

 海岸沿いでは作業員が防波堤にテトラポットを積み上げている。

 コントロールルーム。作業員が待つ所に吉田所長、やや緊張した面持ちの細野原発相らが入ってくる。
 現場の東電管理職ら関係者、「私共お約束させて頂きますので、どうぞ最後まで皆様方と力を合わせて取り組んで参りたいと思います。どうぞよろしくお願いを致します!」。
「ぜひ福島を1日でも早く再生させて、やっぱり福島ってすごいよ、日本人て本当にすごい国なんだ(と言われるようにしたい)」と、作業員達を鼓舞する。
 気力みなぎる表情の若者もいるが、懐疑的な表情の若者も。

 記者会見に応える吉田所長。
 現在の状況については、やや落ち着いてきたのか笑顔で、「周辺の方々にご安心頂ける程度にプラントは安定している。だけど作業するのはまだまだ厳しい状況があるということだと思います」。
 事故当初の頃の話になると一転、表情は厳しくなり、「感覚的に言いますとこの1週間は極端なことを言うと、『もう死ぬだろう』と思うことが数度ありました。
 一寸先が見えない。最悪するとメルト(ダウン)がどんどん進んでいってコントロール不能になるという状態を感じましたね。その時に『もう終わりかな』と感じました」と、率直な心情を吐露した。
 細野原発相は「一度もあきらめることなく現場を励まし、この現場を守って頂いた。それが今をこうした状態に持っていっている最大の要因だというふうに思っています」と、吉田所長ら現場関係者を評価した。





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