金融タイムス・記者メモ <記者メモ>
10月25日号
第二分類開示などは、もってのほか!の声

○─もともと、信金の創立は、昭和初期、金融恐慌の時に銀行融資をまともに受けられなかった金融弱者が相互扶助の精神で設立したのが原点といわれる。
 仕事や生活の環境で比較的弱い立場の人たちが自助防衛手段として、自分たちの金融機関を持とうといって設立したのが、そもそものルーツであるわけで、それから七十年に及び、とくに戦後五十年、ひたすら中小零細企業と共に活躍、発展して今日がある。
○─いまバブル崩壊に端を発した平成不況の暴風が日本国中に吹きまくっている。
 当然のことながら経営不振、赤字企業も多いし、延滞や時には融資条件を大幅に緩和して貰わなければやっていけない企業や商店が多い。
 しかし、これら企業や商店はバブルに踊ったわけではなく、いわば政策の誤りで景気が悪くなったわけでもあるし、つきつめればバブルを起こした金儲け主義の大銀行や不動産会社のせいなのである。
○─それなのに、当の大銀行には景気回復の大義名分のもと、公的資金という名の国民の税金を何兆円もつぎ込み、さらにこれらの経営責任追及もあいまいである。粉飾決算、違法配当のかどだけで三田工業やヤオハンの社長は逮捕されるというのにーー。
 一方、信金は─というと、経営不振や破綻には預金保険も使わず必死になって業界内処理をして、資金的には苦しくとも貸し渋りしないように、分類債権の顧客にも、思い切って貸し込んでいる状況。
 逆に言えば、第二分類層に貸さない信金は、そもそもの信金の生い立ちも知らなければ、使命感もないダメ信金なのである。
○─なのに、株式会社銀行と信金に行政基準の同じ網をかぶせ、同じリスク管理を求める金融監督当局は、全く世間知らず、経済の実態知らずのノー天気役人なのである。
○─信用金庫が主たる取引層の第二分類を開示して、どこの誰にメリットがあるというのだろうか。
 実際、大半の客は喜ばないし、全国大多数の信金も困惑している。
 得意気に開示を発表する信金は、愚の骨頂である─との声が多い。
 さらに、金融監督庁や大蔵省は“なんてオロカな行政指導を”などと後悔することになりはしないか─の声あり。(G) 

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