<記者メモ>

「金融不安、一般市民が過敏に」

「全く、今は何がきっかけで金融不安が起きるか、わかりませんね」−−。ある金融機関関係者はこう言って嘆息した。

昨年十一月、山一、拓銀が破綻して、かねてから経営不安説のあった数行でも預金引き出しが発生し、てんやわんやの大騒ぎとなったが、実は他の銀行も相当、“余波”を食らったようなのである。

ある地銀は地元市役所等の指定金融機関で、ちょうど山一や拓銀の破綻の頃が、たまたま市役所の“ボーナス支給日”に当たった。

同行には早速ボーナスを下ろそうと、ATMに役所関係の職員が殺到。この人達が店の外にまでズラリと並んだ。
これを見た通りがかりの人達はビックリ。「すわ、〇〇銀が取り付けか!」と、一般のお客さんまで預金引き出しに走ってしまい、銀行では慌てて店の外に溢れていたお客さんを無理やり全員店内に押し込んで、取り付け説を必死で打ち消したという。

また、銀行とよく似た名前の信金も、“被害”に会った。
破綻した〇〇銀行とよく似た名前の某信金は、〇〇銀行の関連会社かと思われ、「お宅は大丈夫なのか?」と取引先から何本も電話がかかってきた。

また、某信金は、地元の〇〇銀行と全く同じ名称なので、「〇〇銀行の子会社だろう」と、ノンバンクの如く見られ、そのため経営不安説も囁かれたという。

それにしても、預金が全額保護されている現状では、どこの金融機関が潰れても預金者は損をするわけではない。
しかしここまで金融不安が高まったのは、銀行破綻が戦後、未曾有の出来事ということ。マスコミが「ペイ・オフが行われないとは限らない」などと焚き付け、「悪い金融機関を見分けるには格付けや株価を参考に」と実名を挙げて一生懸命、一般大衆を“教育”した賜物でもあろう。
不安心理は、株価の下落、銀行の一層の体力低下や資金ショート倒産、銀行の取引先企業の倒産、預金者保護のための公的資金導入など、回り回って国民の懐から膨大な金を奪い、日本経済をガタガタにしていく。それは国民が大騒ぎした住専への六千八百五十億円などとはまさに「ケタ違い」の数字になる。

国際的信用の失墜も恐ろしい。ジャパン・プレミアムの増大。
日本への重要な石油供給側のサウジアラムコが邦銀の信用状を拒否など、悪影響は多い。

「『悪い金融機関はさっさと潰して預金者だけ助けろ』とよく言われるが、潰すと債権者は『もう借金は返さなくてもいいや』という気になるので、不良債権が倍に膨らんでしまう。それを処理するのは最終的に『税金』なんですよ。
金融機関を潰すと、一見、金融機関が責任を取ったように見えるが、実は国民がひっかぶるんです。
銀行なんてまだまだ絞る余地が沢山あります。バンバンリストラさせて、安易に公的資金など使わせないことですよ」と、ある金融アナリストは無用な銀行倒産を牽制している。

(大嶋)