8月25日号

 来る十一月一日に東京・大手町の経団連会館で信金法制定五十周年記念全国大会が開かれる。
大不況、超不景気の真っ只中に「全国大会もなかろう!」などといった業界巷の声がないでもないが、五十年ひと昔、信金草創期の原点に戻って、二十一世紀の初めに大衆金融機関としての、これからの行き方を反省・展望する上でも、またとない機会でもあろう。
ところで過日、東北四大祭りの一つでもある山形花笠まつりの観光の帰途、歴史の街−米沢市を訪れた。事前にアポを取っていたので、唯一の地元金融機関である米澤信用金庫の活躍振りも取材する機会を得て、いろいろと大変に参考・勉強になることが多かった。
かの有名な上杉鷹山公生誕二百五十年ということで、市をあげてのお祭り準備に大わらわでもあった。極貧状態にあった米沢藩を倹約と産業振興により、藩再興に成功した例は、二百五十年経った今日においても、その思想は少しも変わらずということで、聖域なき構造改革≠スローガンに掲げる小泉内閣に二重写しの現実感があった。
米沢市民は鷹山公の教えよろしく、ムダが嫌いで倹約家で、したがって預貯金はするがベンチャー的挑戦意欲も少なく預貸率が低いことの金庫経営上の悩みも聞いた。
JR米沢駅前も質素閑散としていて、全国至るところの駅前看板で有名な消費者金融の宣伝も全然見当たらないということは、ローンの借り手もなく、そのため借り過ぎによる若者達の犯罪もゼロ、ということであった。
信金の原点である信用組合、産業協同組合法制定の大功労者である明治の元勲、平田東助伯が、この地の出身者であることを改めて学習、再認識したこの夏、最上最大の収穫の旅であった。

読みもの バックナンバー 出版のご案内