2004年3月15日号
 いま中小金融業界は合併・再編が急ピッチだが、特に信金の場合、いつも問題になるのは、経営陣の人事である。
◇一方が経営破綻または不良債権多発で救済または吸収合併の場合は、優勝劣敗の原則で役員がかなりカットとなっても非常勤理事や総代、預金者、取引者などに説明、納得しやすい。もっとも、その場合でも「自分達経営陣」の経営不始末を隠蔽(いんぺい)する策に出て、やたら合併実施前に役員人事を増やしたりするケースもある。が、これは問題外の話である。
◇しかし、名実共に対等合併の場合は、両陣営の人材に甲乙つけがたく、従って「帯に短し襷(たすき)に長し」となるから、トップ人事だけでも難しい。そのため地元の有力者総代や取引者を勘案してのバランス人事が不可欠となる。ということで役員人数も、かなり絞っても多めになりやすい。
◇ところが当局は表面は人事に介入しない、としながらも、やたら注文を出してくるので、合併当事者は四苦八苦するという。そのため本当は合併・統合して経営力を強化したいのだが、役員問題が壁で二の足を踏むケースも多いときく。
◇そこで記者は提案したい。監督官庁も、対等合併の場合は、リレバンに徹する協同組織という地縁・人縁の特殊性を勘案して、合併時の人事配置に条件付きの特別配慮をしてはどうか?ということである。
◇いつ経営の難問題が降りかかってくるかわからない不安定要素の多いいまどき、いつまでも理事長や金庫役員をやっていたい−などのお人よしの方はいないはず。合併をどう成功させるかで、頭が一杯なのである。
◇役人さん達も「合併させればハイ終わり」ではなく、後々までを考えた「配慮ある行政」をこの際、切に望みたい。

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