2月10 日号
我々専門紙記者といえども、大蔵省金融証券検査官室の一部幹部が、これほどひどく汚染されていたーとは全く想像もしなかった。汚職というより、むしろ“悪質犯罪”である。
▼検査日程を事前に漏らしたり、
他行の検査結果を他業態に流したり、
それで多額の供応接待を受けていたとすれば、
守秘義務の規律違反どころではない。
権威のある国家公務員として絶対にやってはならない最悪のモラルハザードであろう。
▼話題のMOF担などは、エリートバンカー達の出世のためのいわば“特攻隊”みたいなもの。
銀行戦略上、とかく“目ざわり”
な存在の大蔵省の検査や情報を確実にキャッチすれば、論功行賞。
やがて重役ー頭取への途もー。
かつてキレ者、ヤリ手と定評のあったMOF担が、
いまは某有力都銀の頭取に。
従ってMOF担は大蔵攻略のためには手段を選ばぬというわけ。
▼ところで連日、マスコミの餌食になっている井坂武彦氏とはどんな人物か?ということだが、かつての同僚・OBは異口同音に
「気が小さく」て「まじめ人間」だったという。
造幣局時代、恒例の桜の通りぬけに、大阪の一流キレイどころや宝塚歌劇団の若手スター達を局長室に入れたり、少々派手な好みだったかナーなどと語るOBもいる。
▼金融証券検査官室の宮川宏一氏や谷内敏美氏らを知る同僚やOBも、異口同音に「仕事のできる」「まじめ人間」で、「ノンキャリア組では出世頭だ」という。
▼まじめ人間、仕事人間がなぜ誘惑に負けたのか。きまじめ人間が一度“遊び”を覚えると、留まるを知らず、やがて奈落の底へ。
三人はまさにこの典型的なケースか。
▼日本はいま国中、汚職腐敗列島化。だが大蔵省とて全部が退廃しているわけではない。
若手官僚・検査官よ!自信をもって信頼回復に全力を。