9月25日号

最近、金融機関の信用不安を狙って、一般経済誌、週刊誌などによる“金融機関番付”が流行っている。先般も某日刊紙系の週刊誌が全国信用金庫のランク付けを特集して話題となった。
▼ランクの上の方の金庫関係者は喜んで買う。ランクの下の方の金庫関係者は憤慨しながらも気になって買う。職員や取引者なども自分のところはどうなっているのか?と、興味津々で買う。従ってランク付け特集週刊誌はどんどん売れる。それを横目で注目していた他の週刊誌や経済雑誌の編集者が「よし!うちもそのうちに…」といった構えで、そのチャンスを狙う−といった構図となる。
▼昔の諺にある「風が吹けば桶屋が儲かる」といったたぐいで、金融不安が募れば募るほどこの種の“興味本位”の特集が市中の書店の軒先を飾ることになろう。
▼ところでこんな実態把握も定かではない−いわば傍若無人な特集企画は、やられる金庫側にとっては迷惑千万。といってランクに不満な金庫が地区協会や全信協に苦情を申し込んで、これら協会側が厳重抗議しても、当の編集者らは「特集企画は大成功−。業界側から抗議があったこと自体、関心が大いにあった証拠」とばかりに全く逆効果なのである。
▼信金の場合、預金規模が大きければいいというわけでもない。都市部と地方。都市中心と郊外信金の違い。地域の人口、産業構造、そして当該地域での信金のシェア状況。自己資本率が高くても預貸率が低く地域貢献度の低い信金は、その存在意義自体が薄いはずだ。
▼従って信金の場合、株式会社銀行向けの金融ビッグバンは本当はなじまない。週刊誌など気にせず、全国信金の役職員の皆さんは、いまこそ自信をもって大いに頑張ってほしい。


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