金融タイムス・記者メモ <記者メモ>
2008年3月25日号
信金を輸出しよう!

 信用金庫制度を輸出しよう▼日本では、少子高齢化が言われ団塊の世代の大量退職や若年層のホームレス・フリーター化が進む▼金融分野でも欧米の金融資本が入って、体力のあるなしに関わらず日本の一流企業等にTOBをかけるなど、ますます弱肉強食が色濃くなっている▼こうした中、一昨年ノーベル平和賞をとったバングラディシュのグラミン銀行などは、銀行と名がつくものの、実際は貧しい民衆に低金利で融資をする方法で、日本の農漁協等が行っているものとほぼ同じだ。但し「返済する」ということは新しい▼信金制度自体は、日本固有の制度ではない。似たような制度は、欧米にもアジア諸国にもあると言われるが、見えている殆んどは、銀行志向のところだ。どうやら金持ち相手の預貸・各種資産運用等が主流だ▼二千年初頭に「信金の今後について」信金中金で委員会を作っていたようだ。経緯は不明だが、「信金事業に夢を持たそう」といった類の発言もあったという▼さて信金職員にとって自分たちの職務は何か――融資・預金が中心であるものの、最近では、資産運用なども手掛けている所が少なくない。この投信・資産運用などは、信金というよりむしろ大手や地銀が中心にやってきたものだ。ところが信金も指を咥えている訳にはいかず、大手はじめ中堅クラスまでもこれらに取り組んでいる。但し目立つと別件もどきで金融庁が、信金に業務改善命令を出す仕掛けとなっている。また、サブプライム関連証券に見るように、損失リスクも大きい▼これまで信金は、様々な課題が出ても何とかクリアしてきた。その意味で信金は、他の金融機関より柔軟かつ堅実な金融経営をやっていけるはずである。なぜこの制度を輸出しないのか?協同組織でかつ信用金庫制度であること。これこそ最大の強みではないか。信金を大いに宣伝し、日本だけでなく世界に輸出しよう。(Y)
 

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