金融タイムス・記者メモ
<記者メモ>
- 10月25日号
- 政府資金の投入は
“蘇生”のカネか、単なる“慈雨”なのか?
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○─金融機関の経営破綻を未然に防ぐための金融機能早期健全化緊急措置法案が国会を通過し、今後の金融安定化の方向は、健全銀行をより強化するための公的資金の導入と、これを受ける大手銀行筋がどう対応するかに焦点が絞られてきた─と言えよう。
○─巷間、日本の民間金融機関の不良債権と灰色債権は、総額百兆円以上と言われている。
いまの全国信金の総預金残高が約百兆円であるから、それに匹敵する巨額の資金が「問題債権」ということになる。これは大変なことだ。
○─政府は“健全化法案”で、国民から徴収した税金─いわゆる公的資金を不良債権の償却または銀行の健全化のために約七十兆円ほど用意して金融の活性化を通じて、日本経済の蘇生を図るとしているが、これまた至難の業であろう。
○─なぜなら、景気は依然不透明で、日本の大半の企業群は、いまや半死の状態にある─と言っても言い過ぎではないほど疲労困憊(こんぱい)の状態にあるようだ。
いまさら日本全国の仮死状態の企業群に少々の政府資金を注入しても、積もり積もって巨額に達している銀行利息にも足りないであろう。従って企業は蘇生はおろか、労働意欲も湧かないといった状態であろう。
○─加えてバブル景気をあおってきたバブル紳士達の大半がいまや債務オーバーで地下にもぐったまま。連中は大半が銀行取引停止で企業活動どころの騒ぎではない。
むしろ銀行筋からの債務催促をいかに逃れるかに、日夜悪戦苦闘しているといったありさまのようである。
○─というわけで、政府の“人気取り”の一環として、やや遅かりし感のある今回の政府資金の投入は、日本企業再生の“誘い水”になるか、それとも“焼け石に水”で、一時の“慈雨”になるのか?心もとないところである。(I)