Hedgeye Asset Managementのポートフォリオ・マネージャーであるパトリック・ケント氏の主張は、ニール・ハウとウィリアム・ストラウスが提唱した「世代交代の周期論(Strauss-Howe Generational Theory)」、特にその最後の段階である「米国および世界は80年に一度の暴力的でシステム崩壊的な転換期」にすでに入っており、今後10年で文明的なリセットが起こるというものです。
この時期は、既存の制度、政治的・経済的なシステム、そして社会構造全体が崩壊し、新しい秩序に取って代わられるという、暴力的なリセットの時代として特徴づけられます。ケント氏は、投資家は歴史的な周期を理解し、このリセットに備えて適切に資産を位置づける必要があると強く主張しています。
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分析概要
「フォース・ターニング(第4の転換期)」とは
- 80年周期の最終局面:世代交代の理論では、約80年(人間の寿命の長さ)を一つのサイクルとし、それぞれ約20年間の4つの局面(ターニング)を繰り返すとされます。
- 第1の転換期(High):秩序と制度が確立され、繁栄する時期。
- 第2の転換期(Awakening):精神的・文化的な覚醒と反抗の時期。
- 第3の転換期(Unraveling):社会的な結束が失われ、制度が弱体化する時期。
- 第4の転換期(Crisis):危機が発生し、社会全体が激しく衝突し、崩壊と再構築が起こる時期(現代の危機は、1929年の大恐慌と第2次世界大戦終結まで続いた時期に対応します)。
- 現在の位置づけ:ケント氏は、現代はまさにこの第4の転換期(クライシス)に突入しており、今後10年間にわたり非常に危険な状況が続くとしています。この時期は、既存の社会秩序と政府の制度が崩壊し、文明的なリセットが起こる革命的な時代と見なされます。
リセットを引き起こす「流動性ショック」
- 流動性の源泉の枯渇:危機が現実化する経済的要因として、世界のドル流動性の枯渇を指摘しています。「グローバル・ドル・エクイティ(Global Dollar Equity)」が名目成長率を下回って推移している状況では、どこかで「清算(Liquidation)」が発生しなければ、成長率が流動性の水準まで下がるか、市場が崩壊するか、のどちらかになると述べています。
- 産業の空洞化:ドイツの脱工業化問題(ロシアのガス依存からの脱却と核停止)を例に出し、エネルギーやサプライチェーンの問題が、経済成長の基盤を崩壊させている現状を指摘しています。この空洞化は、欧米経済の構造的な弱点となっています。
投資家が取るべきポジションと資産の選択
ケント氏は、フォース・ターニングの時代には、従来の資産配分や投資戦略が通用しなくなり、「保護」と「利益」の二つの視点からポートフォリオを構築する必要があると提案しています。- 保護の確保:危機(クライシス)の時代においては、実物資産が最も重要となります。
- 金(Gold)と銀(Silver):ケント氏は、金と銀は歴史を通じて危機を乗り越えてきた真の価値の保存手段であり、法定通貨システムの外部で富を守るために不可欠であると強調しています。
- 利益の追求:危機後の新しい秩序で繁栄する可能性のある資産に投資します。
- エネルギー・資源:世界的なリセットと再構築の過程で、コモディティ(エネルギー、資源、貴金属)の需要が高まるため、これらの資産は強力なリターンを生む可能性があるとしています。
- 仮想通貨への慎重な見解:仮想通貨(特にビットコイン)については、その供給が少なくインフレに強いという特性を認めつつも、現時点では「ナスダックのようなハイボラティリティ資産との相関が高い」投機的な動きが目立つため、ポートフォリオへの組み込みは時期尚早であるとし、そのボラティリティを慎重に管理する必要があると述べています。
パトリック・ケント氏