シュナイダー氏の主張は、日本円の歴史的な弱さは、日銀や主流派エコノミスト(リフレ派を含む)が主張するような「投機」や「金利差」によるものではなく、回復していない世界経済(ユーロダラーシステム)の機能不全と、日本国内の家計消費の崩壊という冷厳な事実を反映したものであるという点です。
日銀の政策は誤った理論に基づいており、事態を悪化させていると厳しく批判しています。
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分析概要
1. 主流派経済学の敗北:金利差理論の崩壊
動画はまず、現在の円の動きが主流派経済学の理論と矛盾していることを指摘します。- 理論と現実の乖離:主流派の理論では、日銀が利上げ(またはその示唆)を行い、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを行えば、金利差が縮小し、円は上昇するはずです。
- 逆行する現実:しかし実際には、日米の金利差(特に2年債などの短期ゾーン)が日本に有利な方向に縮小しているにもかかわらず、円は対ドルで急落し続けています。
- 理論の破綻:これは、為替レートが中央銀行の政策金利差で決まるという常識が「完全に間違っている」ことを証明しています 。日銀や政府が「投機筋のせい」にするのは、自分たちの理論が破綻していることを認めたくないための言い訳に過ぎないと断じています。
2. 日本経済の実態:家計消費の「完全な崩壊」
円安の背景にある日本固有のファンダメンタルズとして、家計消費の深刻な落ち込みが挙げられています。- 日銀の誤算(好循環の不在):日銀は「賃上げがペントアップ需要(繰越需要)を呼び起こし、消費が増え、健全なインフレが定着する」というシナリオを描き、これを利上げの根拠としてきました。
- 実質賃金の低下:しかし、名目賃金が上がっても、それ以上のインフレ(供給ショックや円安によるコスト増)によって実質的な購買力は低下しており、日本の家計は「置き去り」にされています。
- 消費の急減:その結果、家計は消費を増やすどころか、防衛的に貯蓄に回っており、消費支出(特に10月のデータ)は「暴落(crashed)」しました。
- 関税の歪みと反動:今年の初めに見られた一時的な消費の増加は、将来の関税や価格上昇を恐れた「駆け込み需要(フロントローディング)」に過ぎず、現在はその反動(Payback)による低迷期にあると分析しています。
3. 日銀の「不合理な行動」と債券市場の機能不全
日銀の行動は経済実態に基づかない「劇場型」の対応であると批判されています。- 円安阻止のための利上げ:日銀が利上げ(タカ派的姿勢)を続ける真の理由は、経済が過熱しているからではなく、政治的に不人気な「円安(輸入物価高)」を阻止するためだけのものです。
- 市場の破壊:しかし、この無理な利上げ姿勢は、JGB(日本国債)市場から年金基金や保険会社などの買い手を排除してしまい(含み損を恐れるため)、市場の流動性を枯渇させ、金融不安定性を高める結果しか招いていないと指摘しています。
4. 真の犯人:「ユーロダラー・システム」と世界的な不況
結論として、日本の金融政策の失敗による円安の最大の要因はグローバルな視点の欠如にあるとしています。- ユーロダラーの論理:世界経済は2008年や2020年の危機から構造的に回復しておらず、多くの国で家計が苦境に立たされています。このような「世界同時不況」や経済基盤の劣化は、金融機関のリスク許容度を低下させ、より厳格で逼迫した金融環境(Tighter monetary conditions)を生み出します。
- ドルの上昇=円の下落:このような環境下では、基軸通貨である米ドルの需要が高まり(ドル高)、その裏返しとして円が売られる(円安)のは、ユーロダラーシステムの力学として必然です。
- 中央銀行の無力さ:結局のところ、日銀が何を言おうと、どのような介入を計画しようと、ユーロダラーの世界的な潮流(タイトな流動性)には逆らえず、円は沈み続けると結論付けています。
ジェフリー・シュナイダー氏