元英国外交官のクルーク氏の主張は「欧州は自身の崩壊を防ぐため、ウクライナ戦争という『善悪二元論』に全てを賭け、破滅的な孤立に向かっている」というものです。
クルーク氏は、米国がロシアとの安定関係を模索し始める一方で、欧州(EU)がウクライナでの戦争継続に固執している現状を分析しています。彼は、欧州指導層が現実的な勝算や戦略なしに好戦的な姿勢を強めている背景には、EU自体の正当性の欠如と、崩壊への恐怖があると主張しています。
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分析概要
1. EUのアイデンティティ危機と「善悪二元論」への依存
- クルーク氏は、EUには「民主主義の欠如(democracy gap)」があり、一般市民との結びつきが弱いと指摘します。
- マニ教的世界観の採用:バイデン政権が提示した「民主主義対専制主義」「光対闇」というマニ教的(善悪二元論的)な物語を、EUは自身のアイデンティティとして飛びつきました。
- 結束の接着剤:ウクライナ支援はこの「善悪の戦い」の象徴となり、EU27カ国を結束させる唯一の「接着剤(glue)」となっています。そのため、ウクライナでの敗北や妥協は、EUプロジェクト自体の正当性と結束の崩壊を意味するため、彼らは引くに引けない状態にあります。
2. 実力なき好戦的レトリックと「パールハーバー」戦略
欧州の指導者たちは「戦争の準備」やロシアとの直接対決を口にしていますが、クルーク氏はこれを「奇妙(bizarre)」で非現実的だと断じています。- 能力の欠如:欧州には戦争を遂行するための「資金、人員、武器」が全く足りていません。若者には戦争に行く文化的土壌もありません。
- 米国の引きずり込み:欧州の狙いは、黒海でのタンカー攻撃のような挑発行為を通じて「パールハーバー(真珠湾攻撃)」のようなショックを作り出し、消極的な米国を再び紛争に引きずり込むことにあると分析しています。
3. 世界経済の構造変化と欧州の孤立
クルーク氏は、地政学的な重心が変化していることも指摘します。- 中国の優位性:中国は自給自足を達成し、産業用AIとロボット工学の導入で圧倒的な競争力(価格デフレ)を実現しています。西側の監視資本主義的な「ビッグデータ」モデルとは異なるアプローチで成功しています。
- 米国のブロック化:トランプ次期政権(および米国の戦略)は、中国のインフラを排除し、南北アメリカ大陸を排他的な経済圏として囲い込む動きを見せています(ベネズエラへの介入など)。
- 欧州の敗北:独自の技術的主権も資源も持たない欧州は、この競争において完全に置き去りにされています。
アラスター・クルーク氏(左)