スナイダー氏とヴァン・メトレ氏は、現在進行中のAIブーム(彼らはこれを「AIバブル」と断定しています)が崩壊の兆しを見せており、それが株式市場だけでなく、富裕層の消費に依存していた米国経済全体に深刻なマクロ経済的リスクをもたらすと警告しています。
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分析概要
1. AI業界の「収益性」に対する疑問符
議論の出発点は、AI関連企業の収益化に対する疑念が表面化し始めたことです。- IBM CEOの発言:IBMのCEOが「AIやデータセンターへの巨額の投資が報われる方法はもはやない(there is no way that all this massive spending... will ever be able to pay off)」と発言したことが引用され、初めて市場がその言葉に真実味を感じ始めていると指摘されています。
- オラクル(Oracle)の苦境:オラクルは投資適格級の格付け維持を約束しつつも、フリーキャッシュフローがマイナスに転じ、事業継続のために巨額の借金を余儀なくされています。
- ブロードコム(Broadcom)への失望:ブロードコムの決算は期待外れであり、AI需要の鈍化を示唆しています。
2. バブルのメカニズムと信用市場の引き締め
ヴァン・メトレ氏は、AIバブルがドットコムバブルと同様の軌跡を辿っていると分析しています。- 「まずは買って、質問は後回し」の終焉:初期段階では「変革をもたらす技術」として盲目的に資金が流入しましたが、数字が巨大化するにつれ「どうやって利益を出すのか?」「誰が資金を貸すのか?」という現実的な質問が突きつけられています。
- 負債への依存:AI企業の設備投資(CapEx)は借金で賄われていますが、金融環境が引き締まる中、信用供与者は「デューデリジェンス(Due Diligence):企業精査」を厳格化し始めており、資金調達が困難になるリスクがあります。
3. マクロ経済への波及:「最後の柱」の崩壊
スナイダー氏は、AIバブル崩壊が単なる株価調整にとどまらず、実体経済への打撃となると警告します。- 富裕層の消費への依存:現在の米国経済を支えているのは、AIブームによる株高の恩恵を受けた富裕層(特にベビーブーマー世代)の消費だけです。
- 逆資産効果:AIバブルが弾けて株価(特にNasdaq)が下落すれば、富裕層の消費が縮小し、すでに脆弱な他の消費者層(インフレと雇用不安で疲弊している)と相まって、消費全体が崩壊する恐れがあります。
- 雇用の悪化:FRBのパウエル議長でさえ、労働市場が弱含んでおり、毎月数万人の雇用が失われていることを認め始めています。
4. FRBの政策転換とリスク
- ハト派への転換:10月時点ではタカ派的だったFRBが、12月のFOMCでは予想以上にハト派的な姿勢を見せました。これは、FRB内部でも「AIバブル崩壊による経済の失速」というダウンサイドリスクへの懸念が高まっている証拠だとスナイダー氏は分析しています。
- 時間との戦い:FRBは、貿易戦争などの不確実性が解消され、自律的な経済成長が戻るまで、株高(AIバブル)と富裕層の消費を維持しようとしていますが、その見通しが間違っていれば、経済は支えを失い急落することになります。
Steven Van Metre氏(左)とJeff Snider氏