分類とは
まず、金融機関の債権の分類方法には2種類ある。
1つは、担保が付いていても保証があっても とにかく問題のある債権の「全額」を「丸ごと不良債権」と解釈するもので、 ディスクロージャー誌に発表されているものがこれ。
こちらは、各金融業態の「業界統一開示基準」に従っている。
もう1つは、金融機関の自己査定に基づく分類。
これが最近よく3分類とか2分類などと言われるもの。
そもそもは大蔵省検査での分類方法。
最近、自己査定による債権分類をディスクロージャー誌に記載する金融機関が少し出てきている。
こちらの方は、「担保や保証などを差し引いた後の債権」 と考えるとわかりやすい。
しかし、金融関係者でも実際に自己査定に携わっている人以外は、統一開示基準による債権の分類と、自己査定による債権の分類を 一緒に捉えることが多い。詳しくはこちらへ。
一般には、 「第2分類=赤字とか、融資条件を何らかの形で緩和されているが、返済の滞りは殆どない先」と受け止められている。

資産デフレの上、担保主義が厳しく

中小金融機関の場合、単に中小企業の担保だけでなく、 企業業績やキャッシュフロー、過去の返済状況、経営者の資産等々 を総合的に見て、融資を行う。
しかし最近問題なのは、 金融監督庁設立付近から、金融機関に資産査定でより一層「担保主義」が 求められるようになったこと。 早期是正措置により、所定の自己資本比率を満たせない金融機関は どしどし潰されることになったことなどで、 中小企業金融がやりにくくなってきていることだ。
中小金融機関の多くが、「大蔵検査が担保主義、杓子定規になった」と訴えている。
以前であれば、企業の資産が足りなくても、経営者に資産があれば、 (中小企業では普通、経営者が私財までも投入するので)大蔵省に納得してもらえたが、 最近は検査で「本当に経営者が最後まで責任を持つのか?」 「どうしてそう言えるのか?」などとしつこく聞かれたり、 中には「甘い!」と一言だけで、金融機関側の説明をシャット・アウトする検査官もいるという。
各中小企業とも、長期不況で業績が悪化している上に、バブル時の5分の1という凄まじい地価下落(東京)により、担保余力がなくなっている。そこへ担保主義の強化が行われているわけで、大変厳しい経営環境となってきた。

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